マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
白鴎大・中塚駿太の巨大エンジン!
丸顔に負けん気が潜むドラ1候補。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byTakashi Kimura
posted2016/10/10 07:00
中塚駿太の191cmの体格は、持って生まれた才能の1つ。即戦力としてもだが、何よりそのポテンシャルが楽しみだ。
丸顔のフラット・トーン、おだやかな語り口。
日本ハム・大谷翔平の花巻東高時代に、“152”までは受けている。ボールのほうはなんとかなるだろう……と思ったし、それ以上に、この青年と話がしてみたいと思った。
「高校3年の今ごろなんて、ドラフトどころか、自分、野球部にはいたけど、ほんとに高校野球やったのかな……っていう感じ。コントロールなくて、ほとんど試合で投げるなんてなくて、たまに出してもらっても自滅、自滅で。なんの役にも立てなくて……」
丸顔のフラット・トーン。おだやかな語り口だ。
「誰にも相手にされなくて、体だけが人並外れて大きいから、かえって恥ずかしくて」
192cm、105kg。
200人以上、いろいろな投手と向き合ってきたが、“これまで経験したことのない大きさ”というやつだ。
余裕残しの腕の振りで、あっさり150キロ。
フォームのバランスはもともと悪くなかった。骨から汗が沁み出すほど走り、走らされ、バッティングピッチャーという“矯正法”で打者に向かって投げることに慣れ、そんなこんなで今季4年目。
当たりまえのように投げる150キロ台に加え、カーブ、フォークがストライクゾーンを通過するようになると、いつの間にか、なっかなか打てない剛腕になっていた。
決して威勢よく投げるわけじゃない。豪快に、誰が見ても100%の全力投球という見た目の“すごさ”があるわけでもない。
本気で投げたら200キロじゃないのか。そんな楽しみすら感じさせる、余裕残しの腕の振り。それで、あっさり150が出せる。
受けて、焦った。
130キロぐらいの腕の振りで“150”がバンバン来るから、体感スピードがすごい。胸に引いて待ち構えていても、ミットが遅れる。
コイツのエンジンにマウンドからの18.44mは短すぎる。ソフトボールでも140キロぐらい余裕だろう。