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日本で戦力外、いまやメジャー目前。
中後悠平の“変則左腕”は通じるか。
posted2016/09/16 11:00
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Katsushi Nagao
ワシントン州タコマで行われたマイナーリーグの試合で、珍しい日本人対決が実現したのは、9月3日の夜だった。
青木宣親と中後悠平(なかうしろ・ゆうへい)。元東京ヤクルトと元千葉ロッテ。青木はマリナーズ傘下3A級マイナーのタコマ・レイニアーズ。中後はダイヤモンドバックス傘下のリノ・エーセズの一員だった。
青木宣親については説明不要だろう。日本で首位打者を3回も獲得した稀代の安打製造マシーンである。2012年のメジャーリーグ挑戦時はブルワーズの控え外野手としてスタートしながらも、その後レギュラーポジションを獲得し、ロイヤルズではチームの1番打者としてリーグ優勝に貢献。現在(9月8日時点)まで日米通算1939安打を記録している。
一方の中後は、変則の左腕投手として2011年のドラフト2位で千葉ロッテに入団。日本プロ野球では37試合に登板して2勝2敗、防御率5.68の成績で、昨オフ自由契約となり、今春ダイヤモンドバックスとマイナー契約した。
ロッテを戦力外になり、マイナー底辺から這い上がる。
青木は今年の6月に打率2割4分5厘と不調を極めて、自身初のマイナー降格。メジャー復帰後は3割以上打って打率を2割6分5厘まで戻したが、8月下旬になってチームから「投手陣のテコ入れをしたい」という不可解な理由で再びマイナーに降格させられ、タコマでプレーしていた。
中後の方は、日本のプロ野球を戦力外になった選手たちを追うテレビのドキュメンタリー番組がきっかけでメジャーリーグのスカウトの目に留まり、2月下旬にダイヤモンドバックスとマイナー契約。マイナーリーグの底辺であるルーキーリーグからローA級、ハイA級、3A級と段階的に昇格。3A級では“左殺し”の救援投手として、9月3日までに12戦連続で無失点。3A級昇格前のハイA級から数えると19試合連続(当時)で無失点記録を伸ばしていた。