スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
独走カブスと勝率6割5分。
メジャー30球団最高の先発投手陣。
posted2016/09/17 08:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
シカゴ・カブスが地区優勝を目前に控えている。9月11日、142試合を消化した時点で91勝51敗。ナ・リーグ中地区2位のカーディナルスには16ゲームの大差をつけている。両者が直接対決する12日からの3連戦で地区優勝決めるのはむずかしいとしても、今週いっぱい、もしくは来週早々に、本拠地リグレー・フィールドで祝杯が挙げられるにちがいない。
今季のカブスは、開幕前から本命だった。2012年からはじまったセオ・エプスタイン球団副社長の「チーム改造」が、5年目を迎えてほぼ完成に達したと見られていたからだ。
実際、今季の先発メンバーを見ると、'11年以前から(マイナーもふくめて)カブス傘下にいた選手は皆無にひとしい。準レギュラーのハビエル・バエスやマット・シザー、あるいはウィルソン・コントレラスあたりがぎりぎりひっかかる程度で、他は'12年以降に新入団した、もしくは補強された選手ばかりだ。
クリス・ブライアントやアンソニー・リゾといった主軸をはじめ、ホルヘ・ソレール、アディソン・ラッセルといった進境著しい若手も例外ではない。加えて、デクスター・ファウラーやベン・ゾブリストといった30代の中堅が渋い活躍を見せる。チーム打率(2割5分4厘。30球団中18位。9月11日現在。以下同じ)に比べて出塁率(3割4分1厘。30球団中2位)が断然高いのは、カブス打線の強みだ。
30球団中トップの防御率を支える先発6人衆。
が、カブス快進撃の原動力は、なんといっても投手陣だろう。チーム防御率3.09は30球団中トップ。とくに先発は凄い。ジェイク・アリエータ('13年~)が17勝6敗、防御率2.91(9月11日現在)。ジョン・レスターが('15年~)が16勝4敗、2.51。カイル・ヘンドリックス(傘下のマイナーで'12年~)が14勝7敗、2.07。この3本柱以外に、ジョン・ラッキー、ジェイソン・ハメル(最近はマイク・モントゴメリーも先発陣に加わり、6人で回している)が脇を固める。
なかでも最大のサプライズは、ヘンドリックス(26歳)の急成長ではないか。最高で150キロ弱だから、ヘンドリックスの球はけっして速くない。ただ、変化球は多彩を極める。トレードマークはスライダー回転のシンカーだが、2種類のチェンジアップを投げ分けるのもユニークだ。