沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
欧州で吹き始めたディープ旋風。
マカヒキが凱旋門賞を勝てば……。
posted2016/09/14 11:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
日本のダービー馬マカヒキ(牡3歳、父ディープインパクト、栗東・友道康夫厩舎)が、9月11日、凱旋門賞の前哨戦であるニエル賞(仏シャンティー芝2400メートル、3歳GII)を優勝。日本馬初の凱旋門賞制覇に向けて弾みをつけた。
直前に有力馬が続々と回避し、ニエル賞は5頭立てという少頭数での争いとなった。
圧倒的1番人気に支持されたマカヒキは、クリストフ・ルメールを背に、縦一列となった緩い流れのなか3番手で折り合った。
直線に入ってもしばらく持ったままだったが、ラスト300メートルあたりでルメールがゴーサインを出すとスパートし、前をきっちり差し切った。勝ちタイムは2分35秒84。2着との着差は首。大勝ではなかったが、完勝だった。
落鉄しての完勝は、力の差を感じさせる。
「70パーセントか80パーセントの状態だったが、直線では速かった。まだまだよくなるので、凱旋門賞が楽しみです」とルメール。
ダービー以来3カ月半の休み明けで海外初戦だったこともあり、脚をはかりながらの騎乗だったように見えた。
右回りのコースなので、コーナーを右手前で走ったあと、直線で左手前に替えるのだが、このときのマカヒキは、ゴーサインを受けてから、また右手前に戻してフィニッシュしていた。手前を何度も替えるのは、苦しいときだったり、逆に全力を出していないときだったり、あるいは、自分の得意なほうの手前で走ろうとするときだ。今回は余力があったから替えたと思われるのだが、レース後、右後ろ脚を落鉄していたことが判明した(つまり裸足で走っていた)というから、よほど他馬とは力の差があったのだろう。
同じ距離の日本ダービーより10秒以上遅い決着となった超スローな流れのなかでもピタッと折り合っていたし、春よりもいくらか胴が伸びたように見えた。血統的には間違いなく短距離向きなのだが、距離に対する不安は皆無といっていい。