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欧州で吹き始めたディープ旋風。
マカヒキが凱旋門賞を勝てば……。
 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2016/09/14 11:00

欧州で吹き始めたディープ旋風。マカヒキが凱旋門賞を勝てば……。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

今年の凱旋門賞は、ロンシャン競馬場よりも地面の固いシャンティー競馬場で行われる。この変更はマカヒキにとっては追い風になるはずだ。

凱旋門賞ではおそらく4番人気前後か。

 日本馬がニエル賞を制したのは、同じディープ産駒のキズナによる3年前の2013年以来、2度目のことだ。

 本番の凱旋門賞で、マカヒキは、おそらく4番人気ほどの支持になるだろう。

 1番人気は、春のドバイシーマクラシックでドゥラメンテを負かすなど、GI4連勝中の英国馬ポストポンドか。仏牝馬二冠をはじめ8戦全勝のラクレソニア、10日の愛チャンピオンステークスを圧勝した仏ダービー馬アルマンゾルも、出てくればかなり人気を集めそうだ。

 今年の凱旋門賞は、JRAによる海外レースの馬券発売の記念すべき第1弾となる。インターネット投票限定で、国内での発売による独自のオッズなので、応援票を集めるマカヒキが1番人気になるのではないか。

 ディープインパクトが凱旋門賞で3位入線後失格となってから10年。

 マカヒキのオーナーは、ディープと同じ金子真人ホールディングス(株)だ。母ウィキウィキも金子氏が所有して走らせた「金子真人血統」で、ディープで果たせなかった夢を追いかけている。

金子オーナーがディープで敗れて10年目。

 ディープが敗れたとき、金子オーナーは「凱旋門賞は3歳馬のための勲章という感じがする」とコメントした。それは、古馬のディープにとっては難しいタイトルだったかもしれない、という思いを含ませての言葉だった。しかし10年後の今、その言葉が、自身の所有馬の戴冠を後押しする意味を持つようになった。

 凱旋門賞では、古馬の牡馬が59.5キロ(牝馬は1.5キロ減)という酷量を背負うのに対し、3歳馬は56キロで出走できる。ディープが敗れた'06年を含め、過去10年で7頭の3歳馬が勝っていることが、3歳で出ることのアドバンテージを示している。

 ヨーロッパの競馬場にしては比較的高低差が小さく、速いタイムで決着することの多いシャンティーでの開催となることも、マカヒキにとって間違いなくプラスだ。

 実は、マカヒキ以外のディープ産駒も、このコースへの高い適性を実証している。

 その1頭は、今年5月24日に行われた芝1800メートルGIイスパーン賞で、2着を10馬身突き放したエイシンヒカリ(牡5歳、栗東・坂口正則厩舎)だ。この圧勝劇により、エイシンヒカリはレーティングで世界一に認定された。

【次ページ】 海外のオーナーがディープをつけるケースが増加。

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