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ハリルはなぜ何度も前言を覆すのか。
浅野の起用からわかる「超現実主義」。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/09/13 07:00

ハリルはなぜ何度も前言を覆すのか。浅野の起用からわかる「超現実主義」。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

浅野拓磨は細貝萌と同じシュツットガルトへのレンタル移籍が決まった。日本のスピードスターはどこまで伸びるだろうか。

合宿以前から浅野にトレーニングを指示していた?

「現実」の根拠は、コンディションとモチベーション。

 今回、初戦のUAE戦までに与えられた合宿期間は4日間のみ。シュツットガルトへの移籍が決まった浅野も、合宿初日から参加している。

 だが実は、浅野は合宿以前から代表でコンディションをコントロールできる環境にあった。8月25日のメンバー発表会見で、浅野についてこう言及している。

「五輪が終わったあと、彼は日本に帰ってきた。一体誰が日本に帰ってこいと言ったのかは知らないが、『休め』と言われたそうだ。私も直接ベンゲルに電話して『どうして日本で15日も20日も休まないといけないのか』という話をした。彼が日本に残らざるを得なかったので、私たちが環境を整えてトレーニングをみっちりやらせた。しかし、彼がどこにレンタルされるのか。ロンドンに行ったという話は聞いているが、コミュニケーションを取るのが難しい。そういう事情もあり、(UAE戦に)浅野を使えるかどうかはまだ分からない。五輪でも高いクオリティーを見せたし、若さでチームに情熱をもたらしてほしい。良いプレーができるなら試合に出したい。彼も競争に含まれている」

都内での個人トレーニングに、ハリル本人が同席。

 所属先が決まらずに欧州でトレーニングできないマイナスはあったにせよ、数日間とはいえ代表チームが管理して日本でメニューを浅野に消化させたことはプラスだった。都内の施設で行われたという個人トレーニングには代表コーチが付き添い、そしてハリルホジッチ自ら出向いて指示を出したとも聞く。その後欧州に出発したとはいえ、ああやれ、こうやれとひと足早く最終予選に意識を持たせて準備させていたのは容易に想像がつく。

 メンバー発表会見ではFWを7人と多めに招集したことを聞かれた際に、こうも語っている。

「(どこに移籍するか)浅野の状況が決定的にわからないからだ。それから武藤(嘉紀)がどのような状態なのかもわかっていない。(中略)ほかのFWが来る可能性がある。特に浅野の状態が気になる」

 とにもかくにも浅野にこだわっている様子がよくうかがえるコメントである。

【次ページ】 自分で確認した浅野のコンディションに信頼があった。

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#ヴァイッド・ハリルホジッチ

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