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いまこそ本田圭佑の話をきけ!!
「もっとクレイジーに行かないと」
posted2016/09/13 14:30
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Tomoki Momozono
ロシアW杯アジア最終予選、日本代表はまさかの黒星スタートとなった。
ホームでのUAE戦で本田圭佑が先制点をあげたものの、逆転負け。常に「想定外も想定している」という本田にとっても、この結果は受け入れがたいものだったのではないだろうか。
遡ること2カ月前。オーストリアでオフを過ごしていた本田は、小誌での約1年ぶりの独占インタビュー(Number臨時増刊「本田を超えろ」)に応じていた。
自身3度目となるW杯に向けて、彼は今、何を考えているのだろうか。
濃紺のシャツに同系色のジャケットを羽織ったシックな出で立ちで現れた本田に、インタビュアーの西川結城氏がいきなり鋭い疑問をぶつける。
――最近の本田圭佑は、かつての本田圭佑にくらべてパフォーマンスやキレが落ちているのではないかという見方もある。これに対して自分ではどう思っているのか?
本人にとって決して心地よくはない質問。だが、本田は表情を変えずに、ふんふんと頷きながら聞き終えると、少しだけ間をおいて語り始めた。
「確かに、そういう意見や見方があるのは理解している。ただ、誤解なきように言うと、自分の能力は(30歳の今も)上がり続けているという自負がある。自負だけでなく、もちろん根拠もあります。ロシアのCSKA時代から体力数値をとっていて、フィジカルのキレ、パワー、スピード、どれをとっても数値は今の方がいいのは事実」
本田自らが語った「限界」の意味とは。
相手の意見を受け止めつつも、自身の見解を率直に述べる本田らしいカウンター。ただ、自分の能力の絶対値は年々あがっていても、その“伸び率”の点では若い頃と比べて落ちていることも認めた。20代半ばの頃は、メッシやロナウドのような「世界一」のプレイヤーを目指していたが、30歳を迎えた現在の自分が個のアスリートとして彼らに追いつくには「限界がある」のだと。
ブラジルW杯以前は「優勝」を公言し、チームメイトにも個の能力の向上を求め、それでも足りないのであれば「自分がすべてを背負い、個として突き抜けるしかない」という覚悟を示していた。
だが今は、別の武器で勝負するのだという。