大学は春・秋制だが、プロは夏場に天王山が来る。

　さらに、この秋のドラフトを思いの中に秘めている選手たちにとっては、すでにもう“最終審査”の緊張感の中での一挙手一投足である。

　たとえば、スカウトの方たちの視点としても、涼しく快適な東京ドームで、応援のハイテンションにあおられながらの「都市対抗」ではオッと思わせるようなプレーを見せてくれた候補たちが、残暑、猛暑の炎天下で、スタンドの応援も何もなしにどこまで頑張れるのか、意外と脆くもヘバるのか。

　そこは最も興味のある部分ではないか。

　さらに、春・秋の季節のよい時にだけしか公式戦のプレーをしていない学生選手たちが、やはりこのうだるような“夏”に、どんな顔をして野球をしているのか。

　必ず夏場に天王山を戦うプロ野球。彼らを未来の戦力と考えるのなら、今見ておかないでいつ見るの。そんな8月の終わり、9月のアタマなのではないかと思う。

東芝・谷岡竜平という高卒3年目のエース。

　東芝・谷岡竜平（20歳・180cm80kg・右投右打）が青山学院大を2点に抑えて9回を投げきった。

　東京・成立学園高から入社して今季3年目。入った頃から大学生より体はしっかり出来ていて、ぐっとスピードを増した昨年途中から実戦でも頭角を現していた。

　今季は若きエースの期待を背負って、春から公式戦の“いい所”で使ってもらいながらなかなか応えられなかったのが、7月の「都市対抗」でアッと言わせた。

　初戦、JR九州を相手に先発して6回途中まで5安打7三振の1失点。やっとのことでエースらしい投げっぷりを見せてくれた。

　ストレートがコンスタントに145キロ前後をマークして、勝負球のフォークがキュッと小さく鋭く動き、自分のスイングができた相手打者は1人もいなかった。

　しかしそのあとの九州大会では、ここぞの場面で踏みとどまれず、再びチームの期待に背を向けてしまっただけに、この先のエースという立場にとっても、ドラフト候補という立場にとっても、24日の青山学院大戦はまさに“正念場”であった。

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