サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
代表の左ウイングをめぐる四つ巴。
宇佐美貴史、勝ち点に直結する自信。
posted2016/09/06 07:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Takuya Sugiyama
「我々のプレースピードが遅くなったことで(香川)真司を見つけることができなかった」
UAE戦後の会見で、ハリルホジッチ監督が独特な表現で試合を振り返っている。攻撃のプレースピードが遅く、ダイレクトパスを繋ぐ場面もなく、相手DFにとっては非常に守りやすい状況に陥っていたと指摘した。
この日のスターティングメンバーは、1トップ岡崎、右に本田、左に清武、トップ下には香川が立った。
「清武にはFWとしてのプレーを望んだ。プレースピード、背後へのランニングを要求したが、少し背中を向けた状態でプレーしてしまった」と話す監督は、後半17分に清武と宇佐美を交代させた。試合2日前に到着したばかりでコンディション的にも無理ができない状態だった清武は、FWとしてのプレーへの難しさを口にした。
「左に入ったらFWという意識でやっています。出したら動く、出したら動くというのを繰り返してやらないといけない。中盤ではなくFWなので、裏へ抜けることも必要だし、そういう動きをしているつもりだった。でも監督は、満足していないから僕を変えたんだと思います。求められていることをやっていなかったから。ベンチで相当叫んでいたとも聞いたし、難しいですよね、そこはすり合わせていかないといけない」
香川「選手の距離が近すぎる場面があった」
“見つけてもらうことができなかった”香川は、どう感じているのだろうか?
「リズム的にはそうですね。サイドで幅を出して、行くぞというタイミングでダイレクトとか、自分にパスが入るタイミングがなかなか掴みづらかった。選手同士の距離に問題を感じる部分があったし、ちょっと中が密集していたかな。ポジショニングが被るというか、近すぎる場面があった」と、手詰まり感を抱いていたと香川は振り返った。
清武も試合後に「幅をもう少し出しても良かった」と話している。
「僕と(本田)圭佑くんが常にフリーだったので、そこへ入ると真司くんのスペースを潰しちゃうなということを考えながらやっていました。僕には、最後まで崩し切るという感覚はなくて、当てて落としてというイメージでやろうとみんなと話もしていた。そういうシーンは作れたけれど、最後は相手の足が伸びてきちゃうというのもあった」