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ボルトの“一瞬の睨み”に「やべっ」。
ケンブリッジ、12年越しの夢とその先。 

text by

及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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photograph byJMPA

posted2016/08/30 17:30

ボルトの“一瞬の睨み”に「やべっ」。ケンブリッジ、12年越しの夢とその先。<Number Web> photograph by JMPA

コンマ何秒の瞬間だが、ボルトは確実に日本のレーンに視線を向けた。それはケンブリッジにとってかけがえのない時だった。

ボルトに睨まれたあの瞬間、実はピンチだった。

 その思いが強すぎたのか、ケンブリッジはボルトの走りに吸い込まれ、少しずつボルトの走る左レーンに近づいていく。ボルトもわずかではあるが日本のレーン寄りを走っていたため、30mほどで互いのバトンがぶつかった。

「やべっ」と思ったというケンブリッジをジロリと睨むボルト。その瞬間は多くのカメラマンに激写され、世界中に発信された。

 これ以上ぶつかったらまずい、そう思ったケンブリッジは走りが少し乱れてバランスを崩す。「危なかった。転ばなくて良かったです」と安堵したが、スピードダウンは免れず、米国とカナダとの差が縮まった。しかし後半の強さで強豪チームの猛追を振り切って2位でゴールした。

次は「ロンドン世界陸上100m決勝で戦いたい」

「今までの100mで一番短かった」

 銀メダルをとった満足感と喜びはあったが、ボルトにあっさりと勝負を決められた悔しさもあった。

「最初の30mくらいは並んでいたと思う。最後は一気に行かれちゃいましたね。差を感じました」

 苦笑いしながらレースをこう振り返る。

 若い選手が自分に挑んでくることを楽しみながらも、ボルトは「俺に勝てる選手はいない」と豪語し続ける。「一緒に走りたい」という夢を叶えたケンブリッジの次なる目標は「ロンドン世界陸上100m決勝で戦いたい」に変わった。

 リオで体感したボルトとの10秒をロンドンで再現するために、ケンブリッジの戦いは続く。

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