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<波乱の末の銅メダル>
荒井広宙「引き継いだ“日本競歩の心”」 

text by

折山淑美

折山淑美Toshimi Oriyama

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photograph byKYODO

posted2016/09/05 10:00

<波乱の末の銅メダル>荒井広宙「引き継いだ“日本競歩の心”」<Number Web> photograph by KYODO

スタート時の気温は22度、湿度80%。選手たちは、日差しをさえぎるものがない周回2kmのコースを25周歩き抜いた。

接触による失格処分から一転、手にした日本競歩初の五輪メダル。残り1kmからの“強気な仕掛け”が、勝負の決め手となった――。

 カナダの抗議で一時は失格となりながらも手にした銅メダル。それでも荒井広宙は穏やかな表情を崩さず、明るく笑った。

「ゴールした時は実感がわかなくて……。『本当は去年と同じ4位じゃないのかな』と思ったくらいでした」


 8月19日に行われた50km競歩。メダルを期待されていたのは、昨年の世界選手権3位の谷井孝行だった。だが「6月から動きが噛み合わなくて不安だった」という谷井は22km過ぎで遅れた。ひとり残った世界選手権4位の荒井は「去年の谷井さんの世界選手権3位で競歩が注目もされてきている中、ただでは終われない」と腹を括った。50kmはメダルを含めた複数入賞を期待されていたからだ。

 その後は飛び出していく選手がいても昨年の世界王者のマテイ・トート(スロバキア)にしっかり照準を合わせ、2km8分40秒台のペースを維持。45km手前でトートが前にいる'12年ロンドン五輪王者のジャレド・タレント(オーストラリア)を追ってペースをあげた時には付いていけず、残り2km過ぎにはカナダのエバン・ダンフィーに追いつかれた。

「一瞬『また4番かな』というのが頭を過った。でも去年の世界選手権では3位のメダル争いの相手が谷井さんだったけれど、今回は相手がカナダ人だから負けるわけにはいかないと思った」

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