リオ五輪PRESSBACK NUMBER
日本人初の9秒台、決勝進出かなわず。
100m走“最強の3人”に欠けたもの。
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byJMPA
posted2016/08/18 17:30
準決勝で最後は余裕の走りぶりだったボルト。絶対王者と同組で走った山縣も自己ベストを叩き出したが……。
桐生はボルトの視界に入ることすらままならず。
桐生は7組目でウサイン・ボルト(ジャマイカ)と同組に。スター選手の登場にスタジアムには大歓声が響く。
6レーンにボルト、桐生は9レーンに入った。スタートはまずまずだったが得意の中盤でスピードに乗れず、そのままフィニッシュ。10秒23の4着で予選通過はならなかった。
「悔いがないわけじゃないですけど。出し切りました。五輪までの1年間は色々あったので、その中での集大成がこの結果だなと。自分はまだまだだなと思う」と桐生はレース後に気丈に話したが、自己ベストに遠く及ばない記録での予選敗退にショックの色は大きかった。
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常々「ボルト選手と走りたい」と話していたが、ボルトの視界に入ることすらないまま終わった。
今季は高校3年生のときに出した日本歴代2位の10秒01を出していたほか、怪我もなく順調に来ていただけに悔やまれる結果になった。
山縣は準決勝での自己新に「嬉しい反面、悔しい」。
最終組の山縣は「(前の組の)結果はわかっていたけれど、自分のレースに集中しようと思った」と集中していた。
得意のスタートで飛び出した山縣は、加速部分をほぼトップで通過。後半に今季9秒89を出している4レーンのアカニ・シンビネ(南アフリカ)に抜かれたが、10秒20の2位で予選を通過した。
「ほっとした。前だけ見て走ろうと思っていた。予選の走りの修正点と手応えをもってタイムを縮めていければ」と山縣は語った。
準決勝ではボルト、デグラスとトレイボン・ブロメル(米国)など実力者と同組に。山縣はスタートで飛び出すとぐいぐいと加速し、隣のブロメルを先行する素晴らしい走り。ゴール手前で少しストライドが広がってしまい5着に終わったが、10秒05と自己ベストを更新した。
「自己ベストを出せて嬉しい反面、ちょっと悔しい。でも予選から準決勝でレースの内容を少し変えて、それが結果に出せたので手応えにはなった」と素直な感想を口にした。