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今オフ、本田圭佑はなぜ出ずっぱり?
「伝えたいことが増えてきている」
posted2016/08/05 15:30
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
AFLO
この夏、本田圭佑は多くのメディアを通じて、世間に登場している。
かつてないほどの、露出量。ある時は、スポンサー契約の際にテレビカメラを入れ、そこでインタビューを受けた。またある時は、夜のニュース番組にスタジオ生出演。多忙な予定の間にもインタビュー取材を受け、また芸能レポーターが集まる会見にも登場した。アメリカに渡り、国連財団から青少年のための国際支援者として任命されたことも広く報じられた。
そして、極めつけは安倍晋三首相との会談――。マスコミ各社も彼の動向を、連日追い続けていた。
以前は、メディアの前で多言はしなかった。いまでも、決して何でも話すというスタンスでないことは確かだが、本田の発信スタイルは明らかに変化を見せつつある。そこには、一選手として世の中から見られていたこれまでの彼とは違う、多面的な表情が関係している。サッカー選手に加え、経営者や教育者とも名乗っていることも、これに付随する。
本田とともに行動するSVホルンのCEOであり、本田のマネージャーも務める神田康範氏は、その狙いをこう語る。
「やっぱり、サッカー選手以外の部分を含めて、伝えたいことが増えてきているのは確かだと思います。黙っていては伝わらないことが多くなってきたというか。まず出始めたキッカケは、ホルンの経営の件でした。ホルンの話題を日本に広めたいという思いがあって、さらに教育活動も本格的にスタートしました。それらを考えると、メディアの皆さんにも協力してもらって発信して、社会に向けてメッセージを送りたいという思いになりました。だからこのオフは、たくさん表に出ていきました」
オフは、一時もムダにすることなく人と会う。
本田の関係者に聞くと、多くが口をそろえて「彼の活力には常に驚かされる」と話す。24時間、一時たりともムダにすることなく精力的に人と会い、話を重ねていく。それが彼にとって、この上なく有意義な時間になる。もちろんシーズン中は規則正しい生活を送るため、制限は出てくる。だからこそ、オフの期間に入ると本田の“行動欲”にさらにスイッチが入る。
サッカー選手としての時間。そしてビジネスに関わる時間。複数の表情を瞬時に切替える術は、「だいぶ板についてきた」と本田本人も語っている。