リオ五輪PRESSBACK NUMBER
伊藤華英から萩野公介へのエール。
衝撃的だったロンドン五輪の思い出。
text by
伊藤華英Hanae Ito
photograph byAFLO
posted2016/08/06 08:00
ロンドンでは、銅メダルにガッツポーズを見せた萩野公介。リオではどんな結果と、どんな表情を見せてくれるだろうか。
彼は、どんなときも変わらない。
ロンドンの時は、1週間前から毎日全体ミーティングが決まった時間にあった。少しずつ選手、スタッフ、コーチ陣の緊張感が高まってくる。
そんな時、選手ミーティングで少しずつ決めごとができていった。例えば、食事はチームで一緒にとろう、というようなことだ。
とある決め事について、萩野選手が反論したことを今でも覚えている。五輪独特の緊張感の中、先輩しかほぼ居ない状況でも自分の考えを堂々と発言する姿にびっくりしたのを覚えている。
彼は、どんなときも変わらない。
トビウオジャパンには、ワンパと呼ばれるチームワークを高める儀式がある。そのかけ声を「公介やれ!」と先輩たちに指名されたのも、若さもあったのかもしれないが、「お前が次のエースだぞ」という思いがあったのだと思う。また、初日に個人種目で決勝がある萩野選手をチームの中心にしようという思惑もあったはずだ。
開会直後の競泳は、日本チーム全体を勇気づける。
オリンピックは全体で約2週間行われるが、競泳は開会式の翌日から競技が始まる。つまり、競泳の頑張りは日本選手全体を盛り上げるうえでとても大切なのだ。
そんな中、チームは初日を迎え緊張感がピークを迎えていた。みんながどこか落ち着かない雰囲気だ。
予選を無事通過して、萩野公介のロンドンオリンピックでの初決勝。ゴールを見届けてから、サブプールの電光掲示板を祈るように選手は見守る。
「KOSUKE HAGINO 3位」
本当に感動したし、元気が出た。さらに、控え場所に戻って来てからのあの笑顔で、チームの雰囲気は一気に盛り上がった。金メダルを獲得したライアン・ロクテ選手がいるUSAチームからも、日本おめでとうと声を掛けてもらった。平井コーチも涙を流していた。
最終的に、ロンドン五輪でのチームの成績は、戦後最高のメダル11個を獲得。
いい結果だった。ポジティブな雰囲気に包まれ、「次回のオリンピックは金メダルを」というミーティングでロンドンオリンピックは幕を閉じた。