リオ五輪PRESSBACK NUMBER
伊藤華英から萩野公介へのエール。
衝撃的だったロンドン五輪の思い出。
posted2016/08/06 08:00
text by
伊藤華英Hanae Ito
photograph by
AFLO
4年前。
ロンドンオリンピック初日。400m個人メドレー銅メダル。17歳の萩野公介は日本競泳界のニューヒーローとなった。
当時の彼の印象は、やんちゃで真面目。物怖じしない性格。オリンピックへむけての合宿先でも、オーラと存在感があった。
きつい練習後もあっけらかんと笑い、練習の内容の話をしていた。この選手、頭もいいし、客観性がある。「もしかしたら何かやってしまうかも」と、自分も選手ながら私はそんなことを感じていた。
そこら中に五輪マークがある環境はやはり特別。
合宿でも十分な練習が出来、いざ競泳ジャパンが選手村に入村するときが来た。所謂、アスリートビレッジだ。
私たち競泳の選手は、柔道の選手たちと共に地元の方たち、ボランティアの方たちに大歓迎された。感謝と同時に、いよいよ来たか。もしくは、来てしまった、とどちらかを選手たちは感じるものだ。
萩野選手はこの特殊な環境について、「先輩たちの話を聞いていて良かった」と話していたことがあった。きっと、選手村に入村した時から聞いていた話が、目の前にリアルに映ったに違いない。
例えば、いくら十分な準備をしていても、いざ目の前に五輪マークがあちらこちらで目に入ると、一瞬ではあるが少し怖くなったりもする。
今までだって、オリンピック以外でも沢山の国でトレーニングをしてきているし、異国の雰囲気や、聞こえてくる様々な言語、文化の違い、そういったことには慣れているはずなのだが、やはり五輪は別格。ロンドンオリンピックでは204の国と地域の選手が出場し、選手は全部で10931人だった。
世界の様々な人種、文化が選手村で一気に集約する景色を見るのはなかなか刺激的である。