セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
スペインの時代にイタリアが終止符。
EUROでまたも理性を超える結果が。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/06/29 11:30
4年前、EURO決勝でスペインに0-4で敗れ「試合にすらならなかった」とブッフォンは完敗を認めていた。
シルバに踏まれても、キエッリーニは耐えた。
89分、起死回生を狙うスペインは、イタリアへ意趣返しをするようにGKのロングフィードからダイレクトにゴールを狙った。DFピケのボレーシュートの先には、アズーリの守護神ブッフォンがいた。
技術レベルは高いが、どこか淡白。サンドニの無敵艦隊は、2008年以前のスペインに戻ったようだった。
ロスタイムに入り、ナポリ出身の小兵FWインシーニェが大きなサイドチェンジを放った。DFダルミアンのクロスを経て、FWペッレがとどめの一撃を叩き込んだとき、イタリアベンチは空っぽになっていた。
試合時間はもう残り1分もなかった。現実的に2ゴールを奪われる不安はない。それでも、最後までキエッリーニは気を抜かなかった。
自陣でボールを競り合ううち、ボールを抱えて倒れ込んだ。FWシルバから踏みつけられたが、黙って耐えた。
泥だらけの顔でキエッリーニが立ち上がったとき、試合終了の笛が鳴った。
勝ったのは雑草のチーム、ベスト8へ勝ち上がるのはイタリアだった。
キエッリーニ「キエフから長かった」
「(4年前の)キエフ以来、ずっと靴の中にあった小石、いや結構でかかったな、そいつをようやく取り除くことができたよ」
長年の宿敵をようやく討ち果たした試合後のキエッリーニは、憑き物がとれたように晴れやかな顔をしていた。
「キエフから長かった。ウィーンやフォルタレーザで悔しかったことも忘れちゃいない。今夜、俺たちの勝ちたい気持ちの方が上回った」
無敵艦隊が無敵であった8年間に幕が下りた。