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ロンジンが見通したテニスの未来――。
フューチャーテニスエース大会詳報。
~加藤智子が準決勝まで進む快挙!~
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byLONGINES
posted2016/06/03 16:00
慣れないクレーコート、言葉の壁というハンデをものともせず準決勝まで進出した加藤。
ロンジン共催の全仏OP関連大会では佐藤久真莉が。
そういえばその数日前、これもロンジン主催の「全仏オープンジュニア ワイルドカード選手権」がローランギャロスで行なわれ、5カ国から6人が出場したが、その中に2年前の「フューチャーエース」に出場した佐藤久真莉がいた。
日本人対決となった清水綾乃との決勝に敗れ、惜しくも全仏オープン2週目に行なわれるジュニアの部の本戦出場は逃したが、試合後、2年前を振り返ってこう話した。
「いろんな国の人と試合ができたり、交流とかもできて、とてもいい経験になりました。クレーは海外でしかやらないけど、嫌いではないです。全仏オープンの雰囲気はすごくカッコよくてお洒落で、一番好きになりました」
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パリの魅力を理解するのは子供には無理かと思いきや、14歳の少女もその美と興奮を肌で感じることができるらしい。
フューチャーエースからテニス界の未来を展望して……。
「パリの歴史軸」という言葉がある。
東端のルーブル美術館から、チュイルリー庭園、コンコルド広場、シャンゼリゼ通り、エトワール凱旋門、そして西端のラ・デフェンスの新凱旋門といった歴史的建造物が一直線上に並んでいるのだ。その軸上にはこの景観を邪魔するような高い建物や派手な施設を作ってはならないので、ルーブル宮殿の中庭から西の方角を眺めると、それらシンボリックな建物を一望できる。
その一番奧に見えるのが、ラ・デファンス地区の高層ビル群だ。
見事に計算された美しさを目の当たりにすると、そこが今回の「フューチャーエース」の舞台だったことの感慨が深まる。それはまるで、揺るぎない伝統の先に、広い世界へ、未来へと伸びていくテニスの可能性を表しているようだった――。