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ロンジンが見通したテニスの未来――。
フューチャーテニスエース大会詳報。
~加藤智子が準決勝まで進む快挙!~
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byLONGINES
posted2016/06/03 16:00
慣れないクレーコート、言葉の壁というハンデをものともせず準決勝まで進出した加藤。
準決勝でロシアのボルガプキナに完敗した加藤だが……。
準々決勝ではメキシコのアナ・ポーラ・マルチネスを5-4、5-3で退けたが、準決勝でロシアのクリスティナ・ボルガプキナに1-4、1-4で完敗。
決勝戦ではそのボルガプキナをスペインのマリア・ドロレス・ロペス・マルチネスが4-1、4-2で破り、16人の頂点に立った。
優勝者にはロンジンの時計、トロフィー、ラケットケースが与えられるだけでなく、「16歳を迎える年まで毎年一定額の奨学金が与えられる」という、世界のテニス界にとって何よりも有難いサポートが付く。
さらにファイナリストの2人には、サンチェス・ビカリオとキム・クライシュテルスとのエキシビションマッチを行なうというスペシャルなご褒美まで与えられるというのだ。
優勝したマルチネスは、母国スペインの大スターであるサンチェスとプレーしたいという思いが大きなモチベーションになったとか。
一方、クライシュテルスも元世界ナンバーワンで、全仏オープンはタイトルこそないが、2度準優勝の経験がある。
そんなレジェンドたちと対戦したりペアを組んだり……2人にはまたとない経験になったに違いない。現在3人目の子供を妊娠中で予定日が10月というクライシュテルスのお腹はかなり目立ったが、「3人目だし、安定期だから全然大丈夫よ」と走るわ打つわで、持ち味のフォアハンドの強打を13歳相手にほとんど容赦なく叩き込み、〈一流〉を体感させた。
「英語が話せないのは自分だけ」の加藤も皆と仲良く。
実は加藤の憧れの選手はロジャー・フェデラーとクライシュテルスだという。
それを聞けば、準決勝で敗れたことがなおさら残念だが、集合写真にいっしょにおさまったのはもちろんのこと、ツーショットにも成功。自己アピールは大切なことだ。16人の中で「英語がうまく話せないのは自分だけ」と苦笑いしていたが、それでも他国の選手と談笑し、輪の中に自然に溶け込むことができるのは、テニスという共通のツールがあるからだろう。
今回、韓国とインドが加わり、アジアの比率が高くなったが、最も上位まで進出したのは加藤であった。