本田は、今大会のベストアシストマン。

　39分にも、本田は右サイドからユーベPA内に切り込み、ゴール右前でフリーのMFポーリへ狙い澄ました折り返しの低いパスを放つ。ポーリの右足シュートが外れたため先制はならなかったが、ユーベ守備陣のマークのズレを正確に突いたパーフェクトな1本だった。準決勝までに3本のアシストを決めている本田は、今大会のベストアシストマンなのだ。

　4分後のシュートチャンスには力んでしまい、大きく宙へ外した。それでも、イタリアに来て初めて臨むタイトルマッチに高揚する本田は、主将モントリーボとともに両手を振って、南側ゴール裏スタンドを赤黒色に埋めるミラニスタたちの熱気を煽った。

本田とボナベントゥーラが攻撃を掌握する。

　後半も、試合のリズムをつかんだのはミランだった。

　戦術的転機は、4-2-3-1へのスイッチだ。

　本田は2列目の右に開いて、左で対を成すMFボナベントゥーラとともに、攻撃を組み立てながら中央へ切り込む自由を与えられた。2列目中央のトレクアルティスタ(トップ下)には、左サイドハーフにいたMFポーリが配置されたが、これはいわばダミーの囮。FWバッカは、元々セビージャ時代から4-2-3-1でこそ活きる選手だから、適応に不安要素はなかった。

　緊張の解けた右SBカラブリアが、サイドに空いたスペースを利用して本田と連携しながらユーベ陣内に上がり、右クロスを連発。左のデシーリオも機を見ては前へ、前へと攻めた。

　セリエAのラスト4戦で8失点を献上した17歳の守護神ドンナルマも、安定感を取り戻した。

　自陣が手薄になっても、この日のミランは見違えるような高い集中力を保ち、全員が守備に泥臭く奔走した。ユーベのエースFWディバラへのパスコースを断つために徹底した、ハイプレスとマンマークの効果は絶大だった。

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