プレミアリーグの時間BACK NUMBER
今季プレミアの“サプライズ11”は?
FWには岡崎慎司、相棒はマンUの18歳。
posted2016/05/22 11:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
AFLO
今季のプレミアリーグを「クレイジー・リーグ」と呼んだのは、レスターで奇跡を起こしたクラウディオ・ラニエリ監督。そこで今回は、「ベスト」ではなく「サプライズ11」を選びながら、歓迎すべき予想外が相次いだシーズンを振り返ってみたい。
イレブンを束ねる人物は、実際に今季最高最大の「サプライズ集団」を優勝に導いたラニエリしかない。
奇跡に近い成果を上げた監督には、最下位で降格したアストンビラよりも4日間長い計237日間を降格圏内で過ごしたサンダーランドを、プレミアに留めたサム・アラダイスもいる。だが、昨年10月の就任は「残留請負人」の異名を取る手腕を買われてのこと。基本的には前評判に違わぬ力を発揮したことになる。
その点、ラニエリは「解任監督の筆頭候補」の下馬評を、リーグとLMA(監督協会)双方による年間最優秀監督として覆した。まさかの個人タイトル獲得者として、それぞれFWA(記者協会)とPFA(選手協会)選定の年間最優秀選手賞に輝いた、ジェイミー・バーディーとリヤド・マフレズを代表する意味でも「サプライズ11」の指揮を任せたい。
レスターからは2人、カンテと岡崎を選出。
ということで、本イレブン中のレスター選手は2名にとどめる。1人はエンゴロ・カンテ。個人賞はノミネート止まりだったが、ラニエリが獲得に半信半疑だった新ボランチは、その指揮官が望んだギョクハン・インレルをベンチに追いやって影のキーマンと化した。サポーターたちが冗談で「地球表面の7割は水に覆われていて、残る3割はカンテにカバーされている」と言うほどの行動範囲を誇るボールハンターなくして、レスターのカウンターが最大限に機能することはなかった。
2人目は岡崎慎司。リーグ戦5得点で各紙のベスト11からは漏れがちだが、そのハードワークは「ノンストップ」と絶賛された。そして、「プレーメイカーはいても点取り屋がいない」、「技術は高くても強度が足らない」といった、日本人選手に対するイングランド人のイメージを変えた。その功績は、オーバーヘッドで決勝ゴールを決めたニューカッスル戦翌朝の『サン』紙にあやかり、「シンジ」と「センセーショナル」をかけて「シンセーショナル!」と讃えたい。