“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-19代表がフランスに1-3完敗。
ボランチ中山雄太は何を感じた?
posted2016/05/19 17:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
5月18日に開幕した水原JS杯。初戦のU-19フランス代表戦、ボランチとして先発出場をした中山雄太が対峙したのは、フランス・リーグアンの名門パリ・サンジェルマンで今季リーグ戦5試合に出場し、チャンピオンズリーグの舞台にも立った、クラブ期待の18歳MFクリストファー・ヌクンクだった。
同じようにU-19日本代表において、一番の注目は中山の代表選出だった。チーム立ち上げ時から内山篤監督は彼に絶大の信頼を置き、ボランチとCBの2つのポジションを彼に与え、常にチームの中心に据えてきた。だが今年に入り、所属する柏レイソルでレギュラーに定着すると、U-19日本代表の合宿に彼の名前が挙がることは無くなってしまう。クラブの事情から“呼びたくても呼べない選手”となった彼は、水原JS杯でもリーグ戦とナビスコカップの日程と重なるため、招集されないだろうと思っていた。
しかし、メンバーが発表されると彼の名前がそこにはあった。そして、彼は水原JS杯初戦のピッチに立った。
同じ年齢のフランス代表とマッチアップした中山は……。
Jリーグで掴んだ自信を、プレーで証明するには格好の相手だった。マッチアップするヌクンクはもちろん、MFリュドヴィク・ブラス(18歳/ギャンガン所属。リーグアンで14試合出場)、CBオリヴィエ・ボスカーリ(18歳/ニース所属。リーグアンで11試合出場)、GKクウェンタン・ブラー(18歳/ナント所属。セカンドGKとしてトップのベンチ入り)など、将来のA代表を担う錚々たるメンバーを揃えて来たフランス。
「久しぶりの代表でのプレーというのもありましたし、フランスは日本よりも格上と言われていますけど、そういうチームに対し、自分たちの力を試すのではなく、証明をしたかった」(中山)
だが、立ち上がりからフランスの牙が容赦なく襲いかかった。
ヌクンクは立ち上がりから鋭い動き出しで、バイタルエリアでボールを引き出すと、前半6分には一瞬のスピードで切れ込んで、正確なラストパスでブラスのゴールをアシスト。
中山はいきなり出鼻を挫かれることとなった。
その後もテンポの良いパスとドリブルで攻撃の起点を作られ、「僕のミスでゴール前に運ばれたシーンがあった」と中山がコメントした通り、その変化ある動きに翻弄され続けた。中山だけでは無い、チーム全体が相手のスピードと変化に付いて行けず、14分、25分とブラスにゴールを浴び、あっという間にハットトリックを達成されてしまった。