「やっと野球選手になったな」

　佐藤は言う。

「一軍で登板して“やっと野球選手になったな”という感じです。登板した最初の3試合は、これまで二軍では中継ぎで投げる経験があまりなかったので、とにかく3人で終わらせて、次のイニングの攻撃につなげようと思いました。ランナーを出してもゲッツーが取れればいいかなと開き直れました。フォアボールを出すくらいなら、ヒットを打たれるほうがいい。フォアボールでは何も得られないけれど、ヒットなら投手としての課題が見えるので……」

　3年目の昨シーズンまでは、ランナーを背負うとマウンドでおどおどする場面もあったと二軍の首脳陣は振り返る。今シーズンはそういったメンタル面の課題も克服した様子が佐藤の姿から見てとれる。

「中継ぎで3試合、投げさせてもらったことが大きいです。一軍の雰囲気がある程度、つかめました。しっかり自分のボールを投げれば抑えられるという自信も少し、生まれました。何より一軍のマウンドには二軍では味わえない楽しさがあります」（佐藤）

　あどけなさの残る笑顔でそう語った。

ルーキー多和田のホロ苦デビュー。

　一方のドラフト1位ルーキー、多和田真三郎にとって、初めての一軍マウンドはホロ苦い記憶になってしまったのではないだろうか。

　5月14日に初の一軍登録を果たし、その日の北海道日本ハム戦でプロ初先発のマウンドを託された。初回は無失点で上々のスタートを切ったものの、2回に武器であるストレートを連打されたあと、明らかに腕の振りが鈍くなった。3連続で押し出しのフォアボールを与え降板。ワンアウトも取れずにノックアウトされた。

「ヒットを打たれたことを気にし過ぎてしまいました。打たれても気にせず、もっとストライクゾーンで勝負すればよかったです。自分のピッチングができなくて、情けないという言葉しかないです」（多和田）

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