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西武の次世代投手陣が……見えた!
佐藤勇、多和田真三郎のデビュー検証。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/05/18 10:30
5月11日、楽天戦で一軍初先発した佐藤勇。この日は初勝利を逃したが、岸孝之を負傷で欠いた西武投手陣で活躍が期待される。
初登板の初先発は荷が重かったか……。
中継ぎから先発に回った佐藤と違い、初登板が初先発。チームは3連敗中で、しかも土曜日の札幌ドームは4万人を超える観客で埋め尽くされていた。右肩痛で1年以上、実戦のマウンドから遠ざかっていた多和田には荷が重い舞台だったのかもしれない。
多和田は富士大学出身。1年生から主戦投手として活躍し、その秋に開催された明治神宮大会の初戦でノーヒットノーランを記録し注目を集めた。しかし4年生の春、右肩を痛め、その後は公式戦での登板記録がない。ドラフト会議ではライオンズが早くから指名を公言していたが、「ケガのこともあり、本当に指名されるのか不安だった」と本人は振り返っている。
入団直後、野球関係者に評価を聞くと「良い投手らしいけれど、実際に見たことはない」という言葉ばかりが返ってきていた。評価は高いが、実際にピッチングを見た証言者がいない。そんな、話題だけが独り歩きするドラフト1位ルーキーがやっとベールを脱いだのは4月9日のイースタンリーグ、ヤクルト戦だった。
「こういうタイプの投手は見たことがない」
イースタンリーグ初登板の際にマスクをかぶった星孝典は言う。
「他のピッチャーより低いポイントから、ストレートが打者の手元で浮き上がってくる。ほんの数センチの違いなんでしょうけど、ボールの出る場所が低いので、余計にボールが伸びあがってくる印象が強いです。今まで、こういうタイプの投手は見たことがありませんね。対戦したヤクルトのバッターも“ボールの出所が見にくい”と首をひねっていました」
横田久則二軍監督は語る。
「二軍では100球以上投げること、中6日の間隔で投げても故障した個所に異常がないことなど、すべての課題をクリアして一軍へと送り出しました。故障で1年間、投げていなかったこともあって、我々にとっても多和田の本当の力はわかりません。可能性は未知数と言えます。これから一軍でどんなピッチングをするのか我々も楽しみですね」