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10点目を50m独走で決めた南野拓実。
U-23で培った裏への意識が結実!
posted2016/05/12 17:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
「俺の言った通りだったろう? よく決めたなぁ!」
試合が終わると、ザルツブルクの守護神であるヴァルケはそう言うと、両手をひろげて南野拓実に近づいてきた。
南野も顔をほころばせ、189cmの長身キーパーと抱擁をかわした。
50m近くもドリブルで突き進んで決めた同点ゴールは、南野にとっては10試合ぶりのゴールだった。そして、ようやく今シーズンのゴール数が10点の大台に達した。
5月11日、ザルツブルクは優勝を決めた4日前の試合から、スタメンを7人も入れ替えてグレーディヒとのダービーに挑んでいた。2試合続けてスタメン出場を果たしたのはDFラインの3人と、左MFに入った南野だけだ。
しかも、最下位のグレーディヒはこの試合に勝たなければ2部降格が決まってしまう状況だった。
最下位のチームが相手とはいえ、簡単に勝てる試合にはなりそうになかった。
南野が序盤から感じていた「ゴールの匂い」。
実際、前半15分には先制点を許してしまう。
「僕らとしては難しい試合だったし、相手は降格がかかっているので必死に挑んでくることはわかっていた。失点はしましたけど、そこから何とか跳ね返せたのは良かったと思います。個人的にも、こういう試合でしっかりとゴールを決めることは、本当に大切なことだと思っていました」
前半6分と7分、南野は立て続けにシュートチャンスを得た。いずれもディフェンダーにブロックされてしまったものの、「ゴールの匂いがするな」と南野は感じていた。
そして、前半31分に再びチャンスはめぐってきた。
後方からのボールを南野が前に出すと、1トップのオーバーリンがこれを頭で落とした。センターサークル内でこれを受けた南野は、スピードを落とさずにボールを押し出し、相手DFラインの裏をかけぬけていく。一気にドリブルで敵陣に侵入し、ペナルティエリアに入ったところで冷静に右足でシュートを放った。