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NHKマイルは道中15馬身差で進行?
メジャーとロード、それぞれの思惑。
posted2016/05/07 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
桜花賞で4着に敗れた2歳女王がここで復権するか。それとも、新潟2歳ステークスを驚異的な末脚で制した切れ者が突き抜けるか。3歳春のマイル王を決める第21回NHKマイルカップ(5月8日、東京芝1600m、3歳GI)は、見どころの多い一戦になりそうだ。
桜花賞で単勝1.5倍の圧倒的1番人気に支持されながら4着に終わったメジャーエンブレム(牝、父ダイワメジャー、美浦・田村康仁厩舎)が、ここで巻き返しを狙う。
この馬が参戦してきたことにより、今年のNHKマイルカップは格段に華やかになり、そして、面白くなった。
自ら速い流れを引っ張り、後続がバタバタになるなか、自分だけグイグイ伸びる――そうした走りで昨年の2歳女王となり、年明け初戦、ここと同じ東京のマイルで行われたクイーンカップで1分32秒5の好タイムを叩き出し、2着を5馬身突き放した。
揺るぎない「絶対女王」の座に上り詰めたかに見えたのだが、桜花賞では出足がつかず、6、7番手からの競馬となった。直線で抜け出しをはかるも、得意ではない瞬発力勝負となり、より切れる馬たちに先着を許した。
本来なら、ああいう形はトライアルで試しておくべきだったが、本番で「負けパターン」を確認する結果となった。ワンペースで走る馬なので、他馬と横並びでヨーイドンとなると苦しい。瞬発力を武器とするライバルたちより何馬身も前にいてスパートをかけなければならない。
先行さえ出来れば、力を発揮できる。
桜花賞は自分の形にならなかっただけで、力負けではない。スパッと切れない、つまり、急加速することはできないが、その代わりついてくる馬がバテるほどのハイペースで序盤から飛ばしても、そのまま同じ速さでフィニッシュできる。
追い切りのあと、田村調教師の口から「積極的な競馬をさせたほうがいい」、「自分の形の競馬にしてあげたい」といった言葉が出ており、クリストフ・ルメールも「自分のペースで行くつもり」とコメントしている。桜花賞と同じ轍を踏むことはないだろう。
2枠4番という絶好の枠を引いた。自分の形に持ち込みさえすれば、父のダイワメジャーや、競走能力ではさらに上を行っていたその妹のダイワスカーレットに匹敵するパフォーマンスを発揮してくれるはずだ。