月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
プチ鹿島、4月のスポーツ新聞時評。
阪神高山、DeNA今永、そして熊本地震。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/05/02 15:30
開幕前から新人離れした活躍を続けていた高山。好不調の波をいかにコントロールできるかが課題。
高山が活躍すればするほど気になる原樹理。
高山が活躍すればするほど気になるのはヤクルトのルーキー・原樹理(東洋大)だ。
昨年のドラフト会議で阪神とヤクルトが高山俊を指名し、クジを開けた真中監督がガッツポーズ。誰もが「ヤクルト・高山」誕生だと思った。しかし当たりクジを持っていたのは阪神。世紀の見間違えにより、ヤクルトは外れ1位で原樹理を指名。
ドラフトが面白いのは、当初の評価をひっくり返す選手が出てくること。もし将来、原樹理がヤクルト投手陣の大黒柱になれば、あの真中監督の幻のガッツポーズは「お手柄」となる。
原樹理は開幕ローテに入ったが、好投するも勝ち星がつかない日々が続いた。24日の中日戦で原樹理は2点リードのまま6回4安打1失点でマウンドを降りた。だが救援が打たれ、またも初勝利ならず。5戦未勝利。
ここまで書いて、次の先発はいつかと調べたらその日の夜(5月1日の巨人戦)だったので神宮に行ってきた。この日、遂に原樹理はプロ初勝利。6回2失点で、自ら逆転打も放った。
やっと原樹理が勝ったと思ったら、上には上がいた。横浜DeNAのドラフト1位・今永昇太(駒大)である。
決して他人のせいにしないDeNA・今永。
開幕から好投を続けながらも、打線の援護にとことん恵まれない。4戦勝ちなしという時点でスポーツ報知がこんな記事を書いた。
「援護4戦1点でも失策出ても信念を持ち前向くドラ1ルーキー。今永『負けの哲学』」(4月25日)
「負けた時こそ、野球選手として本来の姿が表れる。そんな信念を持ったドラ1左腕のけなげな言動が、ファンの心をつかみ始めている」として、今永の言葉を紹介している。
<味方の失策が絡んで負けたとき>
→「僕が打たれた事実は変わらない。エースを目指すなら、味方のミスもカバーできる存在にならないと」
<好投しながら敗れたとき>
→「負けた投手の名前は残らない。いい投球だったとしてもプロ野球は昨日得た信頼を今日失う世界なので」
<打線の援護がない試合>
→「そういう言い訳は防御率0点台の投手だけが言えること」
この言動に反応したのがネット上のファン。
「まるで悟りを開いているかのよう」「常に謙虚だから、他球団のファンでも応援したくなる」などといった声が早速広がり始め、ひそかなブームが起こりつつあると報知は書く。