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7人制ラグビーの祭典、香港セブンズ。
世界最高峰の大会はまるで音楽フェス!?
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byNanae Suzuki
posted2016/04/19 17:00
日本は昇格決定トーナメントで優勝。昨季の降格から1シーズンでセブンズワールドシリーズコアチーム復帰を決めた。
完全アウェーの日本は予想以上の苦戦に。
ただし、決勝の相手は地元・香港。予選リーグをぎりぎり3位で通過し、決勝トーナメントも接戦を辛うじてモノにして勝ち上がってきた格下ではあるが、彼らにはスタジアム全体からの声援が味方についている。南スタンドのコスプレイヤーたちも、香港人でもないのに、明らかに開催国に対して熱烈支持を表明している。日本にとっては完全アウェーの状況となった。
実際、日本は予想以上に苦戦した。10分ハーフの前半8分までに2トライを挙げ、12-0としたまでは良かったが、前半終了間際に香港のスター選手・姚錦成にトライを許したことで試合の流れが一変。後半1分にもトライを奪われて12-14とスコアをひっくり返された。会場は大音量の香港コールに包まれ、スタジアムDJまでがそれを煽っている。
勝利、ブーイング! からの大きな拍手。
ただし、リオ五輪でのメダル獲得のために長期合宿を組み、ワールドシリーズで着実に経験を積んできた日本の選手たちは、冷静だった。逆転を許した直後、キャプテンの桑水流裕策は円陣の中でチームメイトたちにこう声をかけた。
「ノーパニック。まずはボールキープ」
この言葉どおり、日本は攻撃時のサポートを速め、香港陣内で粘り強くパスをつなぎ続けた。後半4分にはループパスからトゥキリ ロテがゴール中央にトライを決めて再びリードすると、後半8分にはレメキがダメ押しのトライを奪って勝負あり。大ブーイングが巻き起こる中、レメキは両耳に手を当てて「聞こえませんよ」のポーズ。試合後には「ブーイングがすごくうるさかったんで、やってやろうと思った」と語るのだから頼もしい。
結局、日本は24-14で香港を破り、来季のコアチーム昇格を決めた。試合が終われば、あれだけのブーイングを浴びせていた観衆もノーサイド。直後に行なわれた表彰式では日本の選手たちに大きな拍手が贈られた。