2016年の高橋由伸BACK NUMBER
巨人ファンはつらいよ――の理由。
高橋由伸監督を襲う試練と首位攻防。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/04/19 07:00
淡々と監督業をこなしているように見える高橋監督。「どんな逆境にも立ち向かい、覚悟を持ってまい進します」という引退時の言葉が思い出される。
どっしり構えているイメージの監督キャラに。
では、攻撃はどうか。
オープン戦ではなかった長野の1番起用について「あの年」を指摘したのは伊原春樹だ。
伊原氏が巨人のヘッドコーチだった2007年も開幕前まで1番打者の不在に悩まされていたが、「思い切って由伸に打たせましょうか」と原監督から相談されたという。その結果、由伸は開幕戦で先頭打者ホームランを放ち、チームに勢いをつけて5年ぶりの優勝に導いた。「あの年の自分の姿を重ねているんじゃないか」と伊原氏は見立てている(東スポ・4月6日発行)。そして、長野1番はいまのところ成功している。
監督のキャラとしては、どっしり構えている姿が印象的だ。「由伸監督 このまま何もやらなきゃそこそこやるゾ」と書いたのは日刊ゲンダイだが、その記事の結びには「今季は前評判が低いが、高橋監督がこのまま選手を信用、信頼し続けられれば、巨人は案外、強いかもしれない」と、辛口のゲンダイ師匠が由伸の落ち着きぶりにちょっと驚いていた(3月27日発行)。
巨人は強いのか弱いのかまだわからない。
高橋由伸は今年41歳の青年監督である。この部分も未知数だったのだけど、選手にとっては年齢が近いことで兄貴分的な親近感が良い効果を生んでいるのかもしれない。
由伸が兄貴分なら、本物の「アニキ」が阪神新監督の金本知憲である。「超変革」をスローガンに掲げた阪神は生まれ変わった。巨人は阪神と今季初激突した3連戦(4月5日~7日)で初の負け越し。今シーズンはなおさら注目のカードである。
4月中旬をすぎ、巨人は2位広島、中日に1.5差の首位(4月17日終了時点)。
正直言って巨人は強いのか弱いのかまだわからない。高橋由伸はまだじっと静観しているようにみえる。そんな意思がみえる。
なら、そんな高橋由伸監督をこちらも静かに追っていこう。
展開がまったく読めない2016年。ひとつだけ確実に言えることは、今年も野球は面白いことだ。