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欠場のアロンソが献身的なサポート。
F1デビュードライバー入賞の裏側。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byGetty Images

posted2016/04/10 10:40

欠場のアロンソが献身的なサポート。F1デビュードライバー入賞の裏側。<Number Web> photograph by Getty Images

現在24歳のバンドールン。F1デビュー戦ではチームに今シーズン初のポイントをもたらした。

アロンソの献身的なサポート。

 それでも、マクラーレンMP4-31で予選を戦い、レースを走ったのはバトンとアロンソしかいない。しかも、バトンはチームメートであり、週末は自分の仕事で忙しい。バンドールンに直に、生きた情報を伝えることができるのは、アロンソしかいない。

 だから、アロンソはフリー走行1回目からガレージへ足を運び、時にピットウォールに座って、さまざまなデータを見ながら、バンドールンの走りをチェック。走行後もレースエンジニアのマーク・テンプルとともに、さまざまなアドバイスを送った。

「フェルナンドは本当に献身的にサポートしていました。詳しいことは教えられませんが、レースドライバーとしての経験をいろいろとアドバイスしていました」(バーレーンGPでバンドールンを担当していたマクラーレン広報)

緊張をほぐしたアロンソのささやき。

 アロンソのサポートは、日曜日のレースがスタートするギリギリまで続いた。テストで何百キロもF1マシンを走らせ、GP2で数多くのレース経験があるバンドールンも、F1のスタートは初めて。しかも、相手は世界最高峰の選ばれし21人。ダミーグリッドにマシンを停め、コクピットを降りたバンドールンの顔は、いままで見たことがないほど、緊張していた。

 そこに、微笑みながら近づく、アロンソ。1コーナーを指差し、一言二言、耳元でささやく。それを聞いたバンドールンは、ようやく落ち着きを取り戻したのか、レーシングスーツの上半身部分を脱ぎ、レースエンジニアと最後の確認を始めた。それを見て、静かにその場を立ち去るアロンソ。

 その15分後に切られたスタートで、バンドールンはややホイールスピンを犯して出遅れたものの、1コーナーでの混乱をうまくすり抜け、まずまずの滑り出し。その後、タイヤに苦しむフォース・インディア勢を頭脳的な走行で立て続けにオーバーテイクして、ポイント圏内に入る。F1ドライバーとしての初めてのレース中のピットストップも、すべて無難にこなしてデビュー戦を10位でフィニッシュした。

【次ページ】 24年ぶりのベルギー人ドライバー入賞。

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