フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
世界フィギュア女子は至高の戦いに。
健闘した日本勢の戦いぶりを振り返る。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2016/04/07 17:00
演技後、静かに微笑んだ浅田。来季も現役を続ける意志を表明し、「次はもっと勝負にこだわってみます」とコメントしていた。
「マオは特別な贈り物」と絶賛したウイアー。
NBCの解説者として会場に来ていたジョニー・ウイアーは、試合前の記者会見で「マオはスケート界に与えられた特別な贈り物」と語った。
「ただですらブランクの後に競技に戻るのは大変なことなのに、彼女はものすごいプレッシャーと注目を背負っていた。それらに品性を保ちながら対応し、こなしていったのです」と絶賛した。
新たなファンをつかんだ本郷理華。
本郷理華は、宮本賢二振付のフリー『リバーダンス』で新たなファンをつかんだ。
昨シーズンよりも体の使い方が伸びやかになり、スケーティングも丁寧に見える。ステップシークエンスで手拍子をもらうと、心から楽しそうな笑顔になった。その笑顔を保ったまま、最後は頬を紅潮させてフィニッシュすると、ボストンの観客はスタンディングオベーションをおくった。
回転不足はいくつかあったが、6度の3回転を成功させて総合8位。自分の持ち味は元気なところ、と言いながらも、「でもキレイにも見えなくてはいけない」と今後の課題も口にした。彼女は来季あたり、あっと周囲が驚くほどの急成長を遂げるかもしれないと予感させてくれる締めくくりだった。
全日本チャンピオンの務めを果たした宮原。
宮原知子は、3人中唯一、最終グループで滑った。
今シーズン、大会ごとに完成度を上げてきたリストの『ためいき』で、3ルッツのコンビから演技をスタート。見ていて危なげのない安定したジャンプと、つま先まできれいに伸びたレイバックスピンなど、傷一つない演技だった。フリーは3位。総合5位と惜しいところで表彰台には届かなかった。
「悔しさはあるけれど、今シーズンの世界選手権が無事に終わってよかった。両方とも大きなミスがなかったことはよかったと思っています」と演技後に語った宮原。表彰台に届かなかったことについては、「ロシアの強い選手の点は昔から自分より上だったので、まだ自分はそこに追いついていってないのかなと思っています」と答えた。
それでも浅田真央の7位と合わせて、来季の3枠を確保。全日本チャンピオンとしての役割はしっかり果たしてくれた。