テニスPRESSBACK NUMBER

ロシアでは常飲、米国では販売禁止。
シャラポワの薬「メルドニウム」って? 

text by

及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

PROFILE

photograph byAFLO

posted2016/03/11 10:40

ロシアでは常飲、米国では販売禁止。シャラポワの薬「メルドニウム」って?<Number Web> photograph by AFLO

会見では自分の責任を認め、復帰の意欲を語ったシャラポワ。ロシアの薬物問題はしばらく続きそうだ。

禁止リストの公開、そして5度にわたる連絡。

 シャラポワは会見で、禁止薬物が掲載されているHPのリンクをメールで受け取ったが確認しなかったため、メルドニウムが1月から禁止薬物になったことを知らなかったと話している。

 WADAが急に決定し、周知が徹底されていなかったのでは、選手はむしろ被害者なのではと思った方もいるかもしれない。しかし、確かに施行は1月1日だが、昨年9月には新たに禁止リストに入る薬物が指定され、WADAや国際テニス連盟(以下ITF)のホームページなどにもその旨が掲載されている。

 またITFの広報に問い合わせたところ、ITFと女子テニス協会(WTA)は12月3日、7日、11日、22日、29日と5回にわたって、1月からのドーピング規則の変更について選手に連絡をしたと返答があった。

 シャラポワはIMGアカデミーという巨大スポーツ組織に所属し、練習はもちろん、メディカル面でも手厚いサポートを受けている。そのような環境にありながら、チームのドクターやトレーナーが常用薬を把握できていないうえに、上記のような連絡を無視しているのは、残念ながら管理不足というしかないだろう。

ロシア選手の6分の1が心疾患とは考えづらい……。

 今回の薬物「メルドニウム」が、シャラポワだけではなく、アイスダンス、スピードスケート、自転車などのロシア人選手や、エチオピアの陸上選手から検出されていることも興味深い。研究者たちの分析によると、この薬は持久性を高めたり、故障後のリハビリを助ける作用もあるという。

 昨年のドーピングの検体分析によると、ロシア選手から集められた4316中724の検体、つまり、およそ6人に1人からメルドニウムが検出されている。ドーピング検査を受けるほどのエリート選手の6分の1が心疾患などの病気を抱えている、とは考えづらく、治療目的というよりもむしろ競技力の向上を目的に使用している選手が多いのでは、と考えるのが普通だろう。

【次ページ】 テニス連盟の処分はひとまず評価できる。今後は?

BACK 1 2 3 NEXT

この記事にコメントする

利用規約を遵守の上、ご投稿ください。

マリア・シャラポワ
エカテリーナ・ボブロワ

テニスの前後のコラム

ページトップ