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リラードはカリーのライバルになるか?
NBAで勃発した「ブラザーズ戦争」。
text by
長澤壮太郎Sotaro Nagasawa
photograph byAP/AFLO
posted2016/03/07 18:00
今季が“カリーの年”であることは間違い無いが、伏兵リラード(写真右)との密かなるライバル争いの始まりの年になったともいえる。
“雨のようにシュートを決めまくる”コンビ。
“レイン・ブラザーズ”の名付け親は、当時ポートランドのスターだったラマーカス・オルドリッジ。彼がラジオ番組に出演した際に、雨の多いポートランドとスリーポイントを雨のように決めまくるリラードとマシューズのコンビを合わせ、ウォリアーズの“スプラッシュ・ブラザーズ”に対抗して提案したのがキッカケでした。実はいまだにその名はほとんど浸透していません。
「全ては闘志を燃やす燃料」がモットーのリラード。決してバスケエリートとは言えない大学から、ドラフトでたいした注目もされずにNBAに入ったのが2012年。新人王を獲っても、初めて出場したオールスターで前人未到の全種目参加を果たしても、「エリートでない」ゆえか、相応の評価は受けられませんでした。スター扱いはなかなかしてもらえなかったのです。それでも、モットー通りどんな挑戦もモチベーションに変えて突き進んできました。
2013年のカリーと2016年のリラードの類似。
その後2015-16シーズンを前に、“レイン・ブラザーズ”の片割れのマシューズがFAで移籍。さらに名付け親のオルドリッジまでもがFAでスパーズに移籍。リラードは主力の仲間を次々に失い、チームは崩壊してしまいました。その影響もあり、ポートランドは優勝戦線から離脱。プレイオフ圏外となったチームで孤軍奮闘のリラードは十分な成績を残しながらも、今年のオールスターでファン投票も監督推薦も得られず落選しました。
誰かに似ていると思いませんか?
そうなんです。
2013年のステフィン・カリーと2016年のダミアン・リラード。
選考から漏れたリラードは、悲運の心境をNBA随一と言われる得意のラップで表現しネットにアップ。'13年のカリーがそうだったように、リラードも悔しさをバネに急激に進化。神がかったプレーで得点を量産しているのです。
オールスター明けから2月29日までで得点平均33.7、アシスト平均4.8、スリーポイント平均3.8、シュート率48.5%と驚異的な数字を残しました。中でも一躍話題となったのが、現地2月19日の王者ウォリアーズとの直接対決。スーパースター、カリー相手に大爆発し51得点、7アシスト、6スチールに0ターンオーバーと完璧な内容で王者に痛恨の5敗目を負わせました。試合後ウォリアーズのスティーブ・カーHCに「今日のリラードはカリーを見ているようだった」と言わせました。