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「降格確実」からの逆襲が始まった。
ハノーファーに揃った日本人3人衆。
posted2016/03/01 18:10
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
2部降格は間違いない――。そう言われていたハノーファーに、かすかな希望の灯がともった。
今年に入ってから4勝1分け12ゴールというリーグ最高の成績を残していたシュツットガルトとのアウェーゲームに臨んだハノーファー。11月の骨折以来はじめてスタメンに復帰した清武弘嗣のFKから、キャプテンのシュルツが2ゴールを決めて勝利をつかんだ。
あかるい兆しは、この試合の結果だけが要因ではない。
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この試合の6日前、ハノーファーはアウクスブルクにホームで敗れ、8連敗を喫した。翌日の休みはなくなり、練習グラウンドに選手たちは集められた。すべての選手に、30分×2本の紅白戦が命じられた。
「選手たちは朝から一緒に時間をすごす。そこでたくさんの練習をして、一緒に昼食もとる。いま、我々はハノーファーの地でトレーニングキャンプを行なっているようなものだ」
シャーフ監督は、休みも与えずに過ごす時間をそのように説明した。
試合の映像を改めて見返すと、惨状が……。
翌日も、10時から練習が行なわれた。それが終われば、室内に移ってからの筋力トレーニングだ。そして選手たちを待ちうけていたのが、アウクスブルク戦の映像だった。失点を喫した前半14分までのプレーについて、シャーフ監督は、改善すべきところについてときおり、怒鳴り声もまじえながら選手たちに伝えていった。そのやりとりは2時間に及んだという。
酒井宏樹は振り返っている。
「改めて映像を見たら、誰もパスを受けに来たがらないし、パスはつながらないし、難しいことだらけ。もちろん、僕らが針の穴を通すような正確なパスを出せればいいのでしょうけど、相手もいることなので……。みんなで助け合って、ポジションを取らないと。一つになるしかないと思いました」
清武弘嗣もこう感じた。
「ボールにもプレスに行けていないし、パスは戻っていないし、速い攻撃が出来ていない。やっぱりセンターバックの位置も低くなっていて、彼らがハーフウェイラインくらいまで上がって来て、オレたちがもっと前でボールを回せるようであれば、状況は全然変わってくると思いますけど」