ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
「降格確実」からの逆襲が始まった。
ハノーファーに揃った日本人3人衆。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/03/01 18:10
ハノーファーで4シーズン目を過ごす酒井宏樹。すでにJ時代の出場試合数は超えている。
苦境を救ったのは、新しい選手達。
それでも試合は厳しい展開になる。前半18分、相手のFKからの守備の際にFWベルナーを完全にフリーにして、そこからヘディングで先制ゴールを許すという、致命的なミスをおかした。
しかし、この日のハノーファーは屈しなかった。
この日スタメンで出場した3人はこの冬に加入したばかりで、パスを怖がるというチームの悪癖に冒されておらず、酒井の言う「頭の問題」とも無縁だった。さらに、チームに団結をよびかけ、この試合で故障から戻ってきたキャプテンのシュルツも、そして3カ月に及ぶリハビリとトレーニングから先発に帰ってきた清武もいた。
ADVERTISEMENT
32分、清武が相手を1人かわし、さらに2人目をかわそうとしたところで倒されてFKを得た。これを清武が蹴ると、ファーサイドでシュルツが頭であわせて同点に追いつく。
シュート数16対25、CKは1対17の劣勢で勝利。
その後も相手に少なくとも7回の決定的チャンスを許したが、神がかり的なセーブを見せたGKツィーラーを中心とした守備陣の粘りと、相手の決定力不足にも助けられて追加点は許さなかった。
そして83分、右サイドからのFKを清武がファーサイドに蹴りこむ。再びシュルツが頭で合わせたボールは一度はGKにブロックされたものの、跳ね返りを再びシュルツが右足で押し込んで逆転を果たしたのだ。
相手に許したシュートの数は25本(ハノーファーは16本)で、与えたCKの数も17本(ハノーファーはわずか1本)を数えたが、9試合ぶりの勝利を手にした。
山口と酒井は、アウェーまでかけつけたサポーターがいるゴール裏に挨拶に行き、ユニフォームをスタンドに投げ入れた。
酒井はこうコメントした。
「今日の11人ていうのはやっぱり監督も信頼すると思うし。そういう意味では、大きなスタートです」