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「降格確実」からの逆襲が始まった。
ハノーファーに揃った日本人3人衆。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/03/01 18:10
ハノーファーで4シーズン目を過ごす酒井宏樹。すでにJ時代の出場試合数は超えている。
山口は初めて中央で守備的なMFとして出場。
そして、徐々にコンディションが上がり、ドイツでのプレーにも慣れてきていた山口蛍は、シュツットガルトとの試合を前にこう語っていた。
「自分もコンディションが上がってきて、紅白戦では真ん中でもプレーできるようになっています。練習で見せているようなプレーを、早く試合で見せたい」
2月27日、シュツットガルトに乗り込んだハノーファーは、前節からスタメンを6人も代えた。山口を含め、その6人のうち3人がこの冬にハノーファーに加わった選手たちだ。そして、清武もスタメンに名を連ねた。
開始から7分程度は、相手を惑わせるために中盤をダイヤモンド型にした4-4-2の形に選手たちが並び、そこから先は4-2-2-2のような形に移行する。そんな奇策の効果もあったのだろう。今年に入って絶好調のシュツットガルトの出鼻をくじくことは出来た。
山口も、これまで出場した2試合では右MFと右ボランチの中間の役割を与えられて苦労していたが、この日は初めて中央で守備的なMFとしてプレーするチャンスを得た。もちろん、そこが彼の本来のポジションだ。
山口の存在が、トップ下の清武に好影響。
山口はこう振り返る。
「自分たちが引いて、相手がボールを持つ時間が長かったですけど、裏へのボールというよりは、キヨ君とイバー(フォッスム)がトップ下の良い位置にいるので、そこを上手く使いたいなとずっと思ってました。サリフ(サネ)がセンターバックに入って、自分も含めて、キヨ君のところに上手くボールを集められたかなと」
山口が加入した恩恵を受けたのは、清武だった。清武にボールを集め、苦しい形の時でも山口がパスを受けられる位置にいて、一度ボールを預けることができる。そして、清武は再びボールを受けるために動き直し、そこからリズムが生まれていた。
押し込まれる時間が長かったハノーファーで、トップ下にもかかわらずチーム2位の63回のボールタッチを記録した。そして、味方のシュートにつながるパス6本、81.6%のパス成功率も先発した選手のなかでトップの成績だった。