ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
「降格確実」からの逆襲が始まった。
ハノーファーに揃った日本人3人衆。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/03/01 18:10
ハノーファーで4シーズン目を過ごす酒井宏樹。すでにJ時代の出場試合数は超えている。
史上初、日本人3人が同チームでピッチに立った試合。
清武は試合終了のホイッスルをベンチで聞くと、ニュルンベルク時代の同僚であり、現在は怪我のために松葉杖をかたわらに観戦していたシュツットガルトのギンチェクに声をかけてからサポーターへ挨拶にむかった。喜びは抑えて、これから始まる戦いに備えていた。
「何回も何回もチャンスを作らないと今のチームは勝てない。やっぱり2点、3点と獲らないと勝てないし。だから、今日はそれが良い方向にいったんじゃないかなと思います。でも、まだ1勝しただけなので、そこは気を引き締めてやらないと」
ブンデスリーガの歴史上、はじめて同じチームで日本人3人がピッチに立った試合で、しっかりと勝利を手にしたハノーファー。試合後にはキント会長もこう、たたえていた。
「彼ら3人はお互いに助けあい、安定したプレーを見せてくれている」
シーズンは残り11試合。最下位のハノーファーと、入れ替え戦に回る16位ブレーメンとの勝ち点差は4、自動的に残留が決まる15位につけるフランクフルトとの勝ち点差は6。十分に挽回できる点差だ。シュツットガルト戦が幸運に助けられた勝利だったのか、それとも大きなターニングポイントだったのか。その意味は、これからの彼らの活躍が決めるのだ。