ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
方向は違えどAONは3人とも全力疾走。
ツアー会長、現役、課外活動の三様。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byKyodo News
posted2016/02/25 18:10
2015年の全英オープンで、松山英樹に助言を送る青木功。メジャー大会2位はいまだ破られない日本人最高成績だ。
ジュニア育成、児童施設慰問という課外活動も。
61歳・中嶋は課外活動も盛んだ。自らのニックネームを冠したジュニア育成システムであるトミーアカデミー出身の選手が、特に最近の女子ツアーでも複数名前が挙がるようになった。専門のトレーナーをはじめ、このオフにはスペシャルゲストとして松山英樹も参加。原石をせっせと磨くのに忙しい。
ゴルフとの関わりがまったくない子どもたちへの支援にも積極的だ。シーズン中も空いた時間を見つけては、児童施設などを慰問する。「こどもたちは、俺のことは誰も知らないよ。『このオジサン誰なんだ?』みたいな感じ。でもスタッフの皆さんが『よく来てくれました!』と迎えてくれる。最初は『このオジサン、すごい人なのか?』という感じの子どもたちが、話しているうちにニコニコしてくるんだ」
ツアーの仕事としてのものだけではなく、周りにセッティングされたわけでもなしに「ただ、ぶらっと」、孤児や両親から虐待を受けた子どもたちを訪ねて交流を図ることも多い。ここ数年は発展途上国の恵まれない少年少女に個人で支援できる活動に賛同し、フォーラムに招かれて講演を行うこともある。
3人のレジェンドの力を必要とする人がいる。
老騏千里を思う(老驥櫪に伏するも志は千里にあり)――
以前、尾崎が好きな言葉として挙げた格言だ。名馬はたとえ年老いて馬小屋にいても、千里を駆けようという志を忘れない。英雄は老いても覇気が衰えない、という意味を持つ。
3人のレジェンドはそれぞれ、千里先に描く風景が違っても、その言葉をいま体現している。生ける伝説である彼らと「試合で一緒にプレーしたい。予選で同じ組で回らせてほしい」と、ツアー側に願い出る若手選手がいまだに何人いることか。肉体は衰えても、まだその力を必要としている人々がどれだけいることか。
中嶋は言った。「ゴルフの試合も楽しみがあるし、いろんなところに働き甲斐がある。(自分は)“欲ばり”だから。それを全部味わっていこうと思う」
強欲な情熱が後押しする“AONのこれから”。それはいまも日本ゴルフをたくましく前進させるベクトルである。
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