ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
方向は違えどAONは3人とも全力疾走。
ツアー会長、現役、課外活動の三様。
posted2016/02/25 18:10
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Kyodo News
満を持して、というのが正しいのだろう。
国内男子ツアーを統括する日本ゴルフツアー機構(JGTO)の次期会長に、青木功が就くことが確実視されている。
再興を掲げるツアーの牽引役の襷は、2期4年にわたって同職を務めたNHK元会長の海老沢勝二氏から、73歳のレジェンドプレーヤーへ。
“世界のアオキ”就任の話は数年前からささやかれるようになり、選手サイドからのプッシュも何度となくあった。正式決定は3月4日のJGTO社員総会、理事会を経てからになるが、既に各ゴルフ団体の周辺は騒がしい。水面下でスタッフの人選が進められるなど、外堀を埋める作業が進行している様子だ。
昔、尾崎将司が言っていた。「(青木は)ジュニア育成やチャリティ、日本(政財界やスポーツ界の)のあらゆる冠婚葬祭に出て、プロゴルファーの地位を上げてくれた。頭が下がる」
米ツアー優勝経験もある青木がリーダー的存在だったのは、ゴルフ場の中だけとは限らなかったようだ。だからこそ、今回の機構のトップという“政治の世界”での活躍に対する期待は大きい。
ジャンボの情熱はレギュラーツアーでの勝利に。
しかし一方で、ともに時代を築いたジャンボはといえば、情熱はいまも変わらず第一線、レギュラーツアーでの戦いにある。
2016年の日本ツアーは、尾崎が出場するすべての試合で、新記録達成がかかるシーズンになる。レギュラーツアーの史上最年長予選通過記録は2006年つるやオープンで、故・杉原輝雄が達成した68歳10カ月7日。米ツアーでサム・スニードが成し遂げた67歳2カ月21日をも上回るものとして現存する。
当時66歳でエージシュートどころか、62を叩き出してゴルフ界の度肝を抜いた2013年4月以来尾崎は決勝ラウンドに進んでいないが、今年1月に69歳になったことで、周囲は毎試合そんな楽しみも抱くことができるわけだ(もちろん青木にもその可能性がある)。
だが本人はおそらく、そんな金字塔にはちっとも興味がない。夢はあくまでレギュラーツアーでの優勝といってはばからない。