松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
“自分の番”ではなかった11位終了。
松山英樹「なるべくしてなった」の真意。
posted2016/02/23 10:40
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Sonoko Funakoshi
ノーザントラスト・オープン3日目を首位で終えたバッバ・ワトソンは、こう言った。
「明日は、自分の足元をしっかり見つめ、やるべきことをやるのみだ」
3日目を5位で終えたローリー・マキロイは、こう言った。
「明日は、ミスを抑え我慢する。我慢していれば、どこかで自分の番がやってくる。それがバック9なら、ありがたい」
2人が口にした言葉は、最終日を10位で迎えた松山英樹にも当てはまるものだった。
「まだチャンスはある。しっかり伸ばしていけるよう頑張りたい」
松山も自分の足元を見つめ、やるべきことをやり、ミスを抑え、自分の番の到来を我慢強く待ちながら戦おうとしていた。
だが、最終日に「松山の番」は、ついぞ到来しなかった。
ジリジリとなくなっていく優勝の可能性。
たとえば、フェアウエイに全然行かないとか、ピンに全然絡まないとか、それぐらい不調だったら諦めざるを得ない。たとえば、ここぞという場面でOBを打ったとか、池に落としたとか、そういう大きなミスで後退したら、そのほうが諦めはつきやすい。
だが、最終日の松山のゴルフは、「ああ、ダメだ」と諦めさせる内容ではなく、じりじりとストレスが募っていく展開だった。
1番をバーディーで発進したが、3番も4番もグリーンをきっちり捉えた上で3パットして2連続ボギー。すぐさま5番でピン2メートルに付け、バーディーを奪い返したが、次なる6番では再びピン2メートルに付けながら、それを外してしまった。
「うまくいきそうなところでミスが続いて、なかなか波に乗れなかった」
せっかく自力でチャンスを作り出したのに、そこでミスしてチャンスを逃す自滅的な流れ。それが松山の平常心を乱し、日頃はポーカーフェイスに近いその表情が、この日は悔しさや苛立ちで乱れていた。
「6番を外したのが大きかった……12番もプレッシャーがかかって、ボギーにしてしまった」
出だしは3打だった首位との差が5打、6打と開いていき、最後は7打差。
「18ホールをどうやって回ったらいいかと考えたけど、なかなかうまくいかず、焦りもあった。ベストを尽くそうと思ったけど、結果が伴わなかった。出たからには結果がすべて。悔しいけど、なるべくして、なった。(次は)そうならないよう、しっかり準備していきたい」