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35歳の誕生日が9位スタートの最終日。
岩田寛、ゴルフ人生の「忘れえぬ日」。

posted2016/02/04 10:30

 
35歳の誕生日が9位スタートの最終日。岩田寛、ゴルフ人生の「忘れえぬ日」。<Number Web> photograph by Sonoko Funakoshi

荒天で月曜日に持ち越された岩田寛の4日目。一桁順位の果実はほとんど手にしかけていたが……。

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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Sonoko Funakoshi

「今日という日を僕は決して忘れない」

 激しい風雨に見舞われ、1日に3度もサスペンデッドを繰り返した末、月曜日へ持ち越しが決まったファーマーズインシュランス・オープン最終ラウンド。

 日曜日に72ホールを回り終えた選手は71人中23人。そのうちの11人が80以上を叩いた大波乱の中で、3アンダー、69をマークし、唯一レッドナンバーを誇ったブラント・スネデカーは「こんな悪天候の中で自分がどうやってアンダーで回れたのか、わからない。もう一度やれと言われても、もうできない」と興奮気味に振り返った。

 優勝争いの蚊帳の外でサンデーモーニングを迎えながら、嵐の中で18ホールを回り終えたら情勢は一変し、自分が優勝にリーチをかけている。翌月曜日はクラブハウスリーダーとなって他選手たちの動向を静かに見守るのみ。そんな不思議な展開になった嵐の日曜日を、スネデカーは「忘れがたき日」と表した。

 忘れがたき日――暦の上では1月31日。それは、岩田寛にとっては35歳の誕生日だった。彼はその日をどんな気持ちで迎えようとしていたのだろうか。

「いつまでこんなことをしてるんだ」という自問。

 昨秋、ウェブドットコムツアー・ファイナルズ4戦を経て、今季の米ツアー出場資格を手に入れた岩田だが、夢の舞台に辿り着くまでの道程は、振り返れば長かった。

 2004年のプロ転向以来、日本ツアーで勝利を挙げられぬまま、2008年に米ツアーのQスクールに挑み、最終ステージを戦ったものの107位に終わった。3年前にもQスクールにひっそり挑んだが、メンタル面から崩れ、失敗に終わった。

「いつまでこんなことをしてるんだ」

 そんな自問自答を続けながらも、挑むことを止めなかった。2014年にフジサンケイクラシックで日本ツアー初優勝を飾り、そして昨秋、ついに米ツアーへの扉を開くことができた。

 しかし、今季が開幕した10月以降、成績は振るわない。これまで7試合に出て予選落ちが4回。決勝進出した3試合もすべて40位以下の下位どまり。世界ランキングは120位、フェデックスカップランキングは174位。このままシーズンエンドに向かっていけば、明らかにシード落ちだ。

【次ページ】 ポイントよりも大きな負担は、心の葛藤。

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