プロ野球PRESSBACK NUMBER
30億円補強が裏目に出たオリックス。
それでも来季が期待できる根拠とは!?
text by
芦部聡Satoshi Ashibe
photograph byKyodo News
posted2015/12/26 10:40
10月1日に代行監督から正式に一軍監督に決まり、笑顔の記者会見をした福良監督。右は瀬戸山隆三球団本部長。
監督途中交代の次の監督は好成績を残すジンクスも。
楽天との開幕カードで3連敗を喫して以降、苦境つづきのチームは危機を脱するべく打撃コーチ、バッテリーコーチを配置転換するなど対策に乗り出したが、コーチを替えたところでどうにもならない。5月31日の広島戦に敗れたオリックスは89試合を残した時点で早くも自力優勝の可能性が消滅。6月2日には森脇浩司監督が“休養”することが発表され、福良淳一ヘッドコーチが代行監督を務めることになった。球団史上最大規模の戦力補強は、こうして大失敗に終わったのである。
オリックスは補強を施すとロクな事がない球団だが、代行監督が正監督に就任するといい成績を残すというジンクスもある。コリンズ監督を引き継いで、'08年シーズン途中にヘッドコーチから昇格した大石大二郎監督はチーム初のCS進出を果たしたし、'12年シーズン終了間際に解任された岡田彰布監督の後任となった森脇監督のもと、'14年はあわや優勝寸前までのぼりつめた。そういう意味では、来季の福良監督には期待していいかもしれない。'15年はやることなすことすべてが裏目に出たシーズンとなってしまったが、この一年で悪材料を出し尽くしたと思えば、来年は良いこともあるだろう。
ダークホースがまさかの優勝をかっさらう!?
同じ関西に拠点を置く阪神タイガースに、人気という点では大きく水をあけられていたオリックスだが、3年連続で観客動員数はアップしている。'15年もチームの成績が低迷するなか、主催試合の観客動員数は球団史上最高となる176万7220人を数え、多くのファンが球場に詰めかけた。ブルーウェーブとバファローズの合併球団としてではなく、唯一無二の“オリックス・バファローズ”として、地元・大阪に根づいてきた証左であろう。ずいぶんと時間がかかったが、球団サイドの地道な取り組みはようやく実を結びつつある。
ファンが盛り上がるのは素晴らしいことだが、オリックスはダークホース的な立場が似合う。「もしかしたらイイ線いくかも?」ぐらいの気持ちで見守っていると、予想以上の力を発揮する。そういうチームだ。
おそらく'16年のオリックスを優勝候補に挙げる評論家は、ほとんどいないだろう。だが、それでいい。
大方の予想をひっくり返すことほど、痛快なことはないのだ。