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34歳・村上和弘は再び復活するのか。
2度目のJトライアウトで求めた「和」。
posted2015/12/09 18:30
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
Satoshi Shigeno
12月8日、9日に行なわれた『2015 JPFAトライアウト』。昨年はフクダ電子アリーナと瑞穂陸上競技場(現パロマ瑞穂スタジアム)の2会場で行なわれたが、今回はフクアリのみでの開催。J1からJ3、そして未所属の選手を含めると約90人が参加した。
参加した全選手の平均年齢は26.7歳。うち25歳以下の選手は4割を超える。契約社会であるプロサッカー選手の厳しさを感じさせる数字だ。その中には、全国高校選手権で得点王を獲得した樋口寛規(23歳)、11月にU-22日本代表候補合宿に招集された佐藤和樹(22歳)など、“この年齢と実績で……”という選手を目にすることがある。
しかし、そういったものはピッチに立てば関係ないことを、トライアウトは突きつける。
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例えば佐藤である。30分×2本で行われた紅白戦の1本目で左太もも裏を痛めてしまい、途中交代を余儀なくされた。所属する名古屋は11月22日にリーグ戦最終節を戦って以降、公式戦がないため早めにオフに入っていた。この状況がコンディショニングを難しくした。
「シーズンが終わったことで、一人で調整しなければいけませんでした。対人プレーの練習などは、やはり練習相手がいないとできないですから」
J1クラブを渡り歩いた34歳の村上和弘。
佐藤のように悔しさを募らせた選手がいた一方で、最後まで自分らしさを表現した選手もいた。
「失うものは何もないですし、ピッチでやっている11人と交代した選手も含めて、それぞれ励ましあってプレーできたんじゃないかと思います」
8日午前の部に参加した34歳、村上和弘は少しの安堵感を漂わせつつ、こう切り出した。
村上は高校卒業後の'99年にプロのキャリアをスタートさせ、'01年にベガルタ仙台に加入。J1、J2で実戦経験を積んだ。その後は川崎フロンターレ、大宮アルディージャ、そして再びベガルタ仙台とJ1クラブを渡り歩いた。
村上のプレースタイルを一言で表現すれば、守備のポリバレント。特に川崎では'07年、'09年にACLを戦う過密日程の中で、両サイドバックやストッパーを務め、いぶし銀の働きを見せていた。