フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
羽生結弦の大記録が全選手を高次元へ。
今季のGPファイナルは見どころが多い!
posted2015/12/09 11:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Asami Enomoto
12月10日からスペインのバルセロナで、ジュニアとシニア合同のGPファイナルが開催される。
シーズン前半のもっとも大切な競技会であるこの試合で、いよいよ世界中のトップスケーターたちが顔を合わせる。
羽生結弦の出した歴代最高点の影響は?
男子では、NHK杯でSP、フリー、総合の歴代最高点を出した羽生結弦のニュースの熱がいまだ冷めない。それは羽生も含めた男子全員に、多大なプレッシャーを与えることになるだろう。
羽生にとって、あのレベルの演技を再び繰り返すことができるのか。またさらにそれを超える演技ができるか、という期待がこれから常について回ることになる。彼の新記録が他の選手によって破られることは当分ないと予測されるが、自分に厳しい羽生には、自身との戦いが待っているだろう。
メンタルの強さが問われる男子シングル。
また他の男子にとっても羽生のNHK杯の演技は大きな刺激となったに違いない。
中でも、現世界チャンピオン、ハビエル・フェルナンデスにかかるプレッシャーは半端なものではないだろう。自国開催で当然優勝が期待されるフェルナンデスが、普段は仲がよいトレーニングメイトでもある羽生の出した新記録に、どう応えるのか。
またスケートカナダでは羽生を振り切ったパトリック・チャンにとっても、新たな厳しい勝負が待っている。彼の競技者としての胆力が問われるときである。
若手たちには思い切りの良い演技を期待。
その一方で、今回シニアGPファイナル初進出となった3人、宇野昌磨、村上大介、そして中国のボーヤン・ジンにとっては、プレッシャーはそれほどでもないに違いない。出場することそのもので一つ大きな目標を達成した彼らには、順位にこだわらずに伸び伸びとした演技を期待したい。彼らが思い切りの良い演技を見せたなら、メダルのチャンスは十分ある。
実力者が揃った男子では、守りに入った選手が落ちる。そういう厳しい現実が待っているだろう。