フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
ファイナルは日米露から各2人に。
宮原知子GP初優勝と浅田真央の成熟。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2015/12/02 14:00
今季はスケートアメリカで3位だった宮原。ついに母国でGP初優勝を飾った。
「まだ課題がたくさんある」と浅田真央。
浅田真央はSPの3アクセルで転倒したが、持ち直して3フリップ+3ループを成功させた。だがルッツが1回転になってしまい、SP4位スタートに。
「今朝の練習から、気持ちと体の動きが一致していない感じがあった」と演技後にコメント。
フリーでは3アクセル、3+3には挑まず、それでも2アクセル+3トウループなどを成功させてフリー2位、総合3位になった。順位的には決して悪くないものの、彼女としては、到底納得のできる演技内容ではなかったのだろう。会見で口を開くと、このようにコメントした。
「今回のNHKは自分のやるべきことが、SPもフリーもできなかったなというのが一番思っていること。まだ課題がたくさんあるので、もう一度自分のスケートを見直して次の試合に臨みたいなと思っています」
人間的な深みを感じさせた浅田の滑り。
ジャンプではいくつかミスが出たものの、滑りの質に関していえばやはりさすがと思わせる存在感があった。25歳になった彼女を、「大人っぽくなった」と形容することは簡単だが、それだけではない。思わず応援したくなる、人の心を掴む滑りは以前と変わっていないが、ひたすらひたむきに向かって行く印象から、しっかり自分の世界を持っている女性の深みを感じさせる演技になった。
以前の彼女からは失敗をすると痛々しさを感じたが、今の彼女からは多少の失敗があっても簡単に折れない心のたおやかさを感じる。
今シーズンの振付は、ローリー・ニコルにSPとフリー両方を任せた浅田選手。
「毎年彼女のところに行くと、彼女の表現に近づけるように努力しているし、プラスその上で自分がどうしたいのか、ということを考えています。最近では思っている以上に出来るようになったねと言ってくれることが多くなりました」と語った。