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世界で勝つゴルファーに必要なこと。
R・ファウラーが語った「感覚と対話」。
posted2015/11/24 18:20
text by
長澤壮太郎Sotaro Nagasawa
photograph by
Takuya Sugiyama
あらゆるスポーツの中で、ゴルフほどデータを軸に構成されている競技はないのではないか。近代ゴルフは、道具開発からスイング最新理論まで、プロ・アマ問わずアナリティクス(データ分析論)中心に動いていると言っても過言ではない。
そういう時世で世界ランキング5位(インタビュー時点)、世界中から大ブレイク間近と言われているリッキー・ファウラーの持つ「感覚論」は、予想を超えるものであった。
Number890号掲載中のインタビューでも触れているが、幼少期より彼にゴルフを教えたバリー・マクドネルは、形式的なスイング理論を詰め込まず、幼いリッキーにボールを自由に打たせ、対話の中で解決方法を彼自身に考えさせた。
スイングについて、アマチュアが飛距離を伸ばすにはどうすればいいですか? と質問をぶつけたとき、「思いっきり振ることだね(笑)。あとコブラのクラブをオススメするよ」とシンプル過ぎる答えが返ってきた。笑ってはいるが、目は自信に満ちていた。
“感覚派”の世界ランク5位。
よくある「企業秘密だから」とはぐらかされた印象もなく、「どうせ言ってもわからないでしょ?」という傲慢さもない。真剣に答えてくれた“一言”だったように思う。
しかし、スイングについてのコメントがそれで終わってはインタビュアーとして情けないと思い、技術的な秘訣を聞き出そうと粘ったところ、「スイングの無駄を極限まで無くすことと、気持ち良く振るポジション作り」という答えを得ることができた。これをきっかけに、さらにディテールを教えてもらおうと、「そのためにどんな練習方法を活用していますか?」と自分のペースで攻めていったつもりが、「いや、ブッチ(現在のコーチ)との対話と感覚で直しているよ」とあっさり回答されてしまった。
ゴルフファンなら周知の事実だが、彼は感覚派で、ゲームペースと決断が早い。ただ、今や世界ランク5位の選手だ。一般的に、練習時に何かしらアナリティクスに関連した最新情報があるはずと思うのも当然。私は引き下がらなかった。