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テロ直後の週末にF1界が見せたもの。
グロージャン、そして小松礼雄の思い。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2015/11/22 10:40
予選14位でスタートし、8位でフィニッシュしたグロージャン。来季はハースへの移籍が決定している。
「スポーツが果たせる役割があると信じている」
あれから4年が経ったブラジルGPでも、F1関係者は大きなショックを受けていた。
予選のQ2で2回あったアタックを2回ともミスしたグロージャンの予選後のコメントは、予選でミスして15番手に終わったことではなく、祖国への思いだった。
「まず、今日の僕の心はパリで起きた事件で被害に遭われたすべての人々と共にある。僕は何年もパリに住んでいたし、多くの友達もいる。だから、いまはものすごくショックを受けているし、今回起きたことは本当に悲しい」
グロージャンだけではない。フランスに本社があるルノーがワークスチームとして参戦していた時代に、そのルノーで2度のチャンピオンに輝いた経験を持つフェルナンド・アロンソも思いは同じだった。
ブラジルGPの予選ではパワーユニットがトラブルに見舞われ、アタックできずに終わったアロンソだったが、そんな状況にあってもパリで被害に遭った人々のことを忘れはしなかった。
「大事なことを言っておきたい。首都で恐ろしい悲劇を経験したフランスの人々に、心から哀悼の意を表したい。衝撃的な事件だったけど、そのような状況でも、スポーツが果たせる役割があると僕は固く信じている。僕たちは団結できるんだってことを見せられるはずだ。だから、明日はF1にいる僕たちみんなで、それを証明するために素晴らしいレースを見せたい」
ホンダの結果は「それほど重要なことではない」。
そのアロンソが所属しているマクラーレンでレーシングディレクターを務めるエリック・ブーリエも、祖国への思いを抱きながら週末を戦った。
「今もわれわれ全員が、昨夜パリで発生した残虐な事件に打ちのめされている。愛の街と呼ばれるパリで起きたテロ行為の被害者に心からお悔やみ申し上げたい。今日の予選はマクラーレン・ホンダにとって残念な結果に終わったが、パリで起きたことに比べれば、それほど重要なことではない」