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トリプルアクセル、休養からの復帰――。
伊藤みどりが語る、浅田真央の挑戦。

posted2015/11/19 11:20

 
トリプルアクセル、休養からの復帰――。伊藤みどりが語る、浅田真央の挑戦。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

伊藤みどりさんは1988年に女子として世界で初めてトリプルアクセルに成功。その美しく、高いジャンプは現在も賞賛され続けている。

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Asami Enomoto

 幼い頃から「天才少女スケーター」として注目され、トリプルアクセルを武器にオリンピックの金メダル候補に。オリンピックで銀メダルを獲得の後、引退したものの競技に復帰し、その年いきなりトリプルアクセルを決めてみせ、日本のトップとして活躍を続ける──。

 これは、中国杯で見事な復帰戦勝利を飾った浅田真央選手の経歴ではない。女子で初めてトリプルアクセルを跳び、数々の記録を作ってきたフィギュアスケーター伊藤みどりさんが辿ってきた道だ。

 Number890号では、浅田真央選手が「憧れの人」と語る伊藤さんが、復帰した彼女に送った特別メッセージを収録。1時間半にも及んだそのインタビューは同じ経験をしてきた者だけが語れる共感と愛情に満ちたものとなった。

「やっぱり彼女はスターだよね」

 インタビューに際して、伊藤さんには復帰宣言後の初試合となったジャパンオープンでの浅田選手の演技をじっくり見ていただくことになった。会場はさいたまスーパーアリーナ。浅田選手の演技が始まる前に、光り輝くリンクをバックに伊藤さんの写真を撮影したのだが、すぐに近くにいた観客が気付き「伊藤みどりさんですよね」と声をかけると、自然に笑みを返す。この人もずっと、銀盤の上で笑顔を見せながら必死に戦ってきた人であることを、改めて感じさせる瞬間だった。

 浅田選手のフリーの演技が始まると、真剣な眼差しで“後輩”の滑りを見守った。ジャンプに若干のミスが出たが、自己ベストに迫る141.70という得点が出ると「真央ちゃんはすごい」と思わず言葉が漏れた。

「やっぱり彼女はスターだよね。大事な初戦でここまでの滑りができるまで調子を合せてきた。休養明けの初戦である程度滑れないと『やっぱり復帰は無理なんじゃないか』という声が当然上がるし、その後調子が上がらないと自分自身もやっぱり不安になるだろうし」

 その言葉は自身の経験も振り返るかのような温かさにあふれていた。

 そしてジャパンオープン後に行われたインタビューでは、まず今年の春に行われた浅田選手と伊藤さんのトークショーについての話から始まった。

【次ページ】 伊藤さんが感じた、浅田選手の迷い。

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