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マリアライト、GI初参戦でエリ女戴冠。
4歳で13戦目、この馬はまだ強くなる。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2015/11/16 11:30
ゴールまでぴったり粘りきったマリアライト。会心の騎乗に、蛯名騎手は左手で大きくガッツポーズを2度作った。
蛯名正義、武豊以来2人目となる牝馬GI完全制覇。
「この馬向きの馬場になっていたし、馬体もシェイプアップしていい状態だったから、思い切って行きました」
そう話した蛯名は、この勝利によって牝馬GI完全制覇を達成した。競馬学校の同期の武豊以来史上2人目の大記録だ。
2着がヌーヴォレコルト、3着がタッチングスピーチ、以下、ルージュバック、スマートレイアーとつづいた。直線入口で接触してバランスを崩したラキシスは11着に終わった。
マリアライトは、今年GI7勝目となったノーザンファームの生産。叔父に2006年のジャパンカップダートを勝ったアロンダイト、半兄に一昨年のジャパンダートダービーなどを勝ったクリソライト、半弟に今年の菊花賞で1番人気に支持されたリアファルがいる。リアファルも、交流重賞で2着になるなどダートでの実績もある。パワーとスピードを持ち合わせた血が、この勝利を呼び寄せたと言えそうだ。
デビューが昨年、3歳時の1月。体質が弱かったこともあり、大事に使われてきたので、4歳でもキャリアは13戦しかない。これからさらに強くなっていく、その過程でビッグタイトルを手にしたわけだ。
後方待機組が上位に来る中、前から粘り込んだ強さ。
2着から5着までは、道中後方に待機した馬だった。そんななか、中団から好位で立ち回り、ゴールまで抜かせなかったのだから、強い。
牝馬らしい切れ味が武器というより、このレースで2年連続首差の2着になったヌーヴォレコルト同様、底力で勝負するタイプだ。
「成績を傷つけないよう、いろいろなローテーションを考えていきたい」と久保田調教師。
先々が楽しみな新女王が誕生した。