巨人キャンプがまとう「過程」重視の雰囲気。

　メイン球場のサンマリンスタジアムでは、高橋新監督が若い頃に竹ざおを使った素振りでスイングを磨いた経験から、約2mの棒を使った素振りも行っていた。

「僕が巨人にきたころから（高橋）監督のスイングは軌道がきれいだった。上からインサイドアウトでスムーズにバットが出てね。小さいころに竹ざおで素振りしていたっていうから、じゃあ取り入れてみようと」

　内田コーチは説明する。

　選手が素振りをする横では発案者の高橋監督が実際に自分でお手本を示して、選手に直接指導を行っていた。

　ヤクルトの山田哲人内野手がブレークするきっかけは、杉村繁打撃コーチとマンツーマンで行う11種類のティー打撃だと言われる。アイデアを持った指導者が独自の練習方法で選手の素質を目覚めさせたわけだ。

　そのためには、ただひたすら打ち込むのではない。考えて、目的を理解させて、その上でどうすればいいのかを教える。巨人の秋季キャンプに足を踏み入れた途端に感じた昨年までと違ったムードは、ただバットを振るのではなく、そういう「過程」を重視して1球ずつ内田コーチや高橋監督自らの指導の声が飛ぶ。それが当たり前の光景になっているからだった。

貧打解消以外に、巨人復活の道は無い。

　2割4分3厘はセ・リーグ6球団中で最下位。チーム得点489点は4位だった。貧打にあえいだことが4連覇を逃す最大の理由であったことは明白だ。

　そこからどうやって脱却して、覇権奪回に挑むのか。一にも二にも貧打解消しか巨人が復活する道はない。

　その一歩は宮崎から確かに始まっていた。