プロ野球亭日乗BACK NUMBER
新監督と名伯楽の指導が飛び交う!
巨人、貧打解消へのキャンプイン。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2015/11/14 10:40
原長期政権の後を継いだ高橋由伸新監督だが、その「色」は早くも巨人に浸透しつつある。
アドバイスはあっても、指導は少なかった巨人。
その名伯楽の一軍復帰で何が変わったのか? それは選手の個性に従って、それぞれに最も合った方法で打撃指導を行えるということである。
もちろん、去年までがダメだったというわけではない。村田真一総合コーチや清水隆行打撃コーチも熱心に練習に付き合い、アドバイスを送る光景は何度も見てきている。ただ、打撃指導とアドバイスというのは少し違うようにも思う。
アドバイスは選手が困っていることを手助けすることだが、求めること以上に踏み込むことはあまりない。それに比べて何がダメで、どうしなければならないのかを踏み込んで教えていくのが指導である。
これまで巨人では、指導といえば、坂本勇人内野手などがスランプに陥ると原辰徳監督が直接乗り出すことは何度もあったが、コーチ陣がそこまで踏み込んで指導を行うことはあまりなかった。
ある程度技術的に完成された一軍の選手には、こうした指導はあまり必要ないといえばないのかもしれない。しかし極度の得点力不足に陥っている巨人の打線のことを考えると、何かを変えていかなければならないのは明らかだ。高橋新監督も「打てるチームを作る」と就任会見で宣言したように、今の巨人の打者にはアドバイスの域を超えた指導が求められているということなのである。
「内からバットを出すその軌道を、もう一度、選手に意識させたい」
正面打ちの狙いを内田コーチはこう説明する。
そうして橋本の脇に付きっ切りでバットの出し方を教えていたわけである。
岡本和真にはスタンス矯正のゴムバンド。
内田コーチの目からすれば、ルーキーの岡本和真内野手も、まだまだ教え込まなければならない欠点がたくさんある。
「スタンスが大きくなりすぎる悪いクセがある。その矯正のために両足首にゴム製のバンドを巻いてずっと練習をさせている。ステップ幅がきちっと保てれば、軸回転で打てるようになる。この練習をやると両足の内転筋を鍛える効果もあるからね」
両足をゴムバンドで留めてスイングする姿は少し窮屈に見えるが、それも進化への過程なのだ。